プールで「毒ガスが発生したかも」――340人避難、“塩素ガス”発生ナゼ? 家庭でも…専門家「違う洗剤を混ぜるのは絶対やめて」
15日、首都圏で有毒ガスによる異臭騒ぎが相次ぎました。千葉市のプールでは2つの薬剤が混ざって塩素ガスが発生し、約340人が避難。塩素ガスは家庭でも発生する可能性があります。八王子市の中学校では実験中に硫化水素が発生し、生徒が搬送されました。
15日午後、千葉市の「こてはし温水プール」に次々と消防車両が集まっていました。中には、ボンベを担いだ隊員もいます。流れるプールやウォータースライダーが人気の屋内プールで、有毒ガスが発生する騒ぎがありました。
有毒ガスが発生した当時、プールで泳いでいた人はこう振り返ります。
「プールサイド近くにいたスタッフが、『プールからいったん上がってください』って。特別災害対応車が1~2台来ていたので、結構まずいことが起きたんじゃないかと」
「毒ガスが発生したかもしれない」と119番通報があったのは、午前11時過ぎでした。警察によると、男性職員が施設の地下にある機械室でプールの水質管理の作業を行っていたといいます。
プールの水の消毒に使う次亜塩素酸ナトリウムが減っていることに職員が気付き、補充しようとしたところ、誤ってポリ塩化アルミニウムを投入。2つの薬剤が混ざって、有毒な塩素ガスが発生しました。
当時プールにいた人は「今日は『千葉県民の日』で、(周辺の)小学校とかお休みだったんだと思うんです。なので結構人がいました。たくさんの子どもたちがオープン前からすごい並んでいたので」と言います。
プールに多くいた子どもたち。約340人が避難する事態となりました。利用者に被害はありませんでしたが、男性職員1人が目の痛みを訴えたということです。
取材中、事情を知らない利用者が施設を訪れ、職員が対応に追われる場面もありました。その1人は「子どもたちの水泳のレッスンで来ました。『塩素ガスが発生してしまって今日はレッスンできない』と言われました」と話しました。
今回、薬剤が混ざったことで発生した塩素ガス。専門家は、家庭でも発生することがあるとして注意を呼び掛けています。
化学物質に詳しい長岡技術科学大学・斎藤秀俊教授
「例えば漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムからできています。次亜塩素酸ナトリウムというアルカリ性の洗剤を使っているところに酸性の洗剤を混ぜてしまったりすると、塩素が出ます」
ガスの発生を防ぐために気を付けることとして、斎藤教授は「薬品は混ぜない、これに尽きますね。洗剤で銘柄が違うものを2つ使うとか3つ使うとかは、絶対にやめていただきたい」と言います。
一方、東京・八王子市の中学校でも「理科の実験後に気分が悪くなった生徒が複数人いる」と119番通報がありました。理科の実験で、有毒ガスの硫化水素が発生しました。
警視庁によると、このガスを吸ったとみられる中学2年の男女8人が体調不良を訴え、病院に搬送されました。いずれも意識はあり、軽症です。
(6月15日『news zero』より)