“発がん性”疑いも――自然界にない「PFAS」がナゼ水に? 一部の川や地下水から高濃度で検出 都水道局「水道水は安全」
発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFAS」が問題になっています。自然界に存在しない物質ですが泡の消火剤の一部などに使われ、地下水に入る可能性があります。東京都水道局は水道水の安全性を強調。国は被害の未然防止に向けて動きだしました。
有働由美子キャスター
「(『水道水の水質に関する一部報道について』という件名の)東京都水道局からのメールがあります。最近送られてきた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。私にも送られてきましたが、最初見た時は『フィッシング詐欺か』と構えてしまいました」
「『zero』が15日に水道局に確認したところ、本物でした。(メールを)読んでみると『安心して水道水をお飲みいただけます』と書いてあります。また『PFOS(ピーフォス)』『PFOA(ピーフォア)』という見慣れない単語もあります」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「有機フッ素化合物のことで、これらを総称して『PFAS(ピーファス)』と呼んでいます。これは発がん性が疑われる物質で、国内の一部地域の河川や地下水などから、高い濃度で検出される事例が確認されました」
小栗委員
「このPFASは自然界には元々なく、1940年代以降にアメリカで開発されたものです。水や油をはじくという独特の性質があるため、日本でもフッ素加工のフライパンやハンバーガーの包装紙、メガネのくもり止めなどの商品に使われてきました」
「ただ2021年までに、これらPFASの商品について日本国内での製造や輸入は禁止されています」
有働
「今売られているフライパンには含まれていないということですね」
小栗委員
「環境省が公表した調査では、PFASが原因で病気になったなどの健康被害が発生したという事例はないとされています」
「ただ、長年PFASについて研究している京都大学の原田浩二准教授によると、欧米では腎臓がんや精巣がんのリスクが上がったり、乳幼児の成長に影響が出たりするなどの可能性が指摘されています」
有働キャスター
「そもそも、自然界にないPFASがなぜ水道水にあるのでしょうか?」
小栗委員
「PFASは空港や米軍基地、立体駐車場などで使われる泡の消火剤の一部に含まれているほか、半導体の製造過程などでも使われています。そのため周辺の地域で土壌汚染が発生し、地下水にPFASが入ってしまう可能性があるということです」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「僕の周りでも、特に子どもに対して心配する声をよく聞きますし、浄水器を買おうかなという人もいます。対策はどれほど進んでいるのでしょうか?」
小栗委員
「国も15日に専門家会議を行い、被害を未然に防ぐための検討を進めています。早ければ7月中に今後の方針を取りまとめたいとしています。また東京都水道局では、基準値を超える井戸の取水を禁止し、定期的に検査を行っているため、水道水は安全だとしています」
有働キャスター
「もしPFASのことで確認したいことがあれば、東京都の電話相談窓口(03-5989-1772、平日午前9時~午後5時)を利用してください」
「また、この話をかたった悪質な訪問販売や詐欺には十分ご注意ください。水道局から(の依頼だとして)浄水器や水質検査の業者が訪ねることはありません」
(6月15日『news zero』より)