水俣病第2次訴訟 原告128人全員を水俣病と認定 国などに賠償命令 大阪地裁
水俣病特別措置法の救済対象から漏れたことは不当だとして、熊本県と鹿児島県出身の128人が、国などに損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は全員を水俣病と認定し、賠償を命じる判決を言い渡しました。
大阪地裁で行われた注目の裁判。熊本県や鹿児島県出身の原告128人は、水俣病に罹患(りかん)したのに、2009年に施行した特別措置法の救済の対象外になっているのは不当だと訴えていました。
「水俣病」は、チッソ水俣工場によるメチル水銀を含んだ排水を摂取した人たちに生じた、手足の感覚麻痺などの神経系の中毒性疾患です。
国は2009年、裁判所による被害認定の拡大を受けて、問題の「最終解決」を掲げて、特別措置法を施行しました。
しかし、この特措法には「線引き」が存在し、当時、水俣湾に近い地域に住んでいた人や、原因物質が排出されていた1969年11月末までに生まれた人、2012年7月末までに申請した人が救済の対象となり、原告らは、救済の対象外となっていました。
原告側は、「汚染は広範囲かつ長期間にわたり影響していた。申請の受付期間も短く、国は不合理な線引きで多くの被害者を切り捨てた」などと主張し、1人あたり450万円の損害賠償を求めていました。
一方、国などは「発症するほどの暴露はない上、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する『除斥期間』が適用される」として、訴えを退けるよう求めていました。
判決で大阪地裁は、「特措法の対象外地域であっても、水俣病が発症したと推認するのが合理的だ」として、原告128人全員を水俣病に罹患したと認定。国などに対し、1人あたり275万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
同様の集団訴訟は熊本、東京、新潟の地裁でも起こされていて、大阪地裁が初めての判決です。
原告「10年間頑張ってきて報われたなと思いました」「きょうは本当にうれしくてたまらない。裁判所は公正な判断をしてくださったと思う」
一方、国は、「判決の内容について精査し、対応を検討してまいります」とコメントしています。