9年ぶりに“再開”……子宮けいがんワクチン、接種呼びかけに都内の親子は 高校1年の娘、決断の背景に母の“手術”経験
年間で約3000人が命を落とす子宮けいがん。4月から、ワクチンの積極的な呼びかけが9年ぶりに再開されました。母親の経験を聞き、リスクも考えた上で接種に至った高校1年生らを取材しました。ワクチンだけでなく、検診の受診率向上も求められています。
■接種の大学生「選択肢が広がる」
4月から9年ぶりに、国による子宮けいがんワクチン(HPVワクチン)接種の積極的な呼びかけが再開されました。
千葉市にある「東京ビジネスクリニック」を11日、女子大学生(21)が訪れました。診察室で「キャッチアップ(接種)の対象ですね」と告げられ、接種しました。
女子大学生(21)
「市から案内が来て、そこから調べてみて、打とうかなと」
定期接種の対象は小学6年生から高校1年生(相当)です。さらに、呼びかけが中止されていた期間に接種できなかった女性(1997年度から2005年度生まれ)も、2025年3月まで無料で打つことができます。
女子大学生(21)
「打つ、打たないは個人の自由なんですけど、選択肢が広がる。改めてこういう制度を設けてもらえるのは、すごくありがたいと思いました」
■ワクチン、原因の50~70%を防止
都内の高校1年生、結愛さん(15)は、呼びかけ再開をきっかけにワクチンについて調べました。
結愛さん
「重い副反応が出てしまう方がどのくらい、何人中何人いるのかとか、子宮けいがんで亡くなってしまっている方が何人いるかとか。批判的な意見も見た中で、自分は打った方がいいかなと思いました」
厚生労働省によると、日本では約3000人が子宮けいがんで亡くなっています。40歳前後で発症のピークを迎えますが、20代も増えているといいます。同省によると、ワクチンでは子宮けいがんの原因とされるウイルスへの感染などを50~70%を防ぐことができます。
■娘が接種…母の手術経験が後押しに
結愛さんは4月4日に接種しました。後押ししたのは、母親の絵里さん(44)から聞いた話でした。
結愛さん
「一番大きいのは、お母さんにがんの疑いが見つかって、その時に手術を経験したという話を聞いて」
絵里さんは仕事や子育てで忙しく、検診に行けない年が続いていたといいます。2013年、不正出血があり「ちょっとおかしいな」と感じた絵里さんは、精密検査を受けました。その結果、子宮の入り口に「高度異形成」が見つかりました。
がんになる一歩手前で、一部を切り取る手術を受けることになりました。2013年8月の日記で絵里さんは「これからどうなるの?とか ずっとつきまとう心配なのか とか段々怖くなり」「私が万一いなくなったら子どもたちどうなっちゃうのとか」と綴っていました。
絵里さんは自身の経験を伝えた上で、結愛さんに問いかけました。
絵里さん
「娘がいやだと言ったら(接種の)無理強いはしないけど、『どう思う?』『受けた方がいいと思う?』って聞いたら、(娘は)『受けない理由はないかな』となって」
結愛さん
「お母さんの話を聞いて、より危機感を持ったというか、自分も例外ではないと改めて感じました。(ワクチンを)打ったことによって、少しでもその可能性が減ったらいいなって」
■HPVワクチンで…「発症87%減」
岩本乃蒼アナウンサー
「ワクチンの効果について、去年、発表されたイギリスの最新の調査結果では、12~13歳で接種した学年は、接種していない学年に比べ、子宮けいがんの発症が87%減少したと報告されています」
有働キャスター
「辻さんは接種したとうかがいました」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「私も当時、家族と話して、自分の意思で打ちました。HPVワクチンの普及ももちろん大事ですし、同時に乳がんと子宮けいがんの検診も大事なのではと思います」
「女性の健康診断の受診率は全体的に男性よりも日本は低いです。正規雇用の比率が女性の方が低いことなど、いろいろな要因が関係しています」
「HPVワクチンも健康診断も、自己責任で終わらせずに、家族や学校、職場などいろいろな場所でサポートしたり、課題の共有ができたりするといいなと思います」
有働キャスター
「そういう点も大事ですよね。定期接種の対象は小学6年生から高校1年生の年齢の皆さんです。接種機会を逃した1997年度から2005年度生まれの女性も無料でキャッチアップ接種できるので、ぜひ積極的に話し合って検討してください」
(4月13日『news zero』より)