震度7も想定…「首都高」最新の地震対策は“橋げたの真下”に “高速道路で大地震に遭遇”そのとき、できることは…
今年は関東大震災から100年です。「首都高速道路」は、大地震の際、緊急車両などが使う重要な道路となります。首都直下地震発生が懸念される中、この道路を守るための最新の地震対策を取材しました。
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2011年3月、東日本大震災では東京都心で震度5強を観測。首都高でも車が大きく揺れました。震度6弱以上の地震が発生した場合、首都高は、救助活動を行う緊急車両などのための専用道路となります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「地震発生から24時間以内に一車線を確保して、緊急車両を通すことが使命」
今週、震度7の大地震が発生したことを想定した訓練を取材しました。訓練では、乗り捨てられた車をレッカー車などで移動し、緊急車両が通れるよう車線を確保していました。
さらに、地震の揺れで道路の継ぎ目に40センチの段差が発生し、通行不能になった想定での訓練も行われていました。
車両を移動させたあとに行われるのが「段差の修正」です。使われるのは、「段差修正材」と呼ばれる板で、これを積み重ねて段差をなくしていきます。
実はこの素材――。丈夫な発泡スチロールでできていて、一人で持ち運べる重さにもかかわらず大型車も通行可能です。使える機材が限られる災害時。人の手でも運べる資材を使って、作業の効率化を図っています。
首都高速道路 東京東局保全管理課・竹内祐二さん
「緊急車両を早期に通行させるため、迅速に行うことがポイント」
首都高は、1962年に開通し、首都圏の大動脈で1日の交通量は100万台にのぼります。総延長およそ327キロのうち、7割以上が高架橋です。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、高速道路などの高架橋が倒壊しました。この震災をきっかけに首都高は地震対策を見直し、橋脚の耐震性を向上させました。
さらに、最新の地震対策が橋げたの真下にあります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「橋脚と橋げたの間にある灰色の装置。万が一地震動で、段差が生じてしまうことが起きる。その段差を最小限にとどめる役目」
これは「段差防止構造」というもの。地震の大きな揺れにより、橋げたと橋げたを支える台座が壊れた場合、段差が生じてしまいます。しかし、段差防止構造によって、段差を最小限に食い止めることができるといいます。
首都高では現在、災害時に緊急車両の通行が想定される重要な路線から順次、設置を進めています。
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では、私たちが高速道路で大地震に遭遇したら――。
まずは、車を片側の車線に寄せて、パトロールカーの指示に従ってほしいといいます。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「(災害時)自衛隊、警察、消防の部隊が全国から集結する。首都高は、その部隊の方たちがより早く被災地に向かうために重要な役割」
万が一、車を置いて避難する場合には、通行路の確保のため車を移動できるよう、必ず鍵を車内に置いて逃げてほしいと呼びかけています。