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“日本人の死因2位”重い心疾患に新たな治療法が 「補助人工心臓」のいま

2023年4月22日 18:05
“日本人の死因2位”重い心疾患に新たな治療法が 「補助人工心臓」のいま

がんに続く、日本人の死因2位の心疾患。重い心臓病の患者にいま期待されている新しい治療法とは。

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移植を経験した女性、松田あずみさん(仮名)(41)。元気な姿からは想像できませんが、中学生の時に重い心臓病の「拡張型心筋症」と診断され、命が危険なほど悪化し6年前に、心臓移植の手術を受けました。

松田さん「誰かにもらうんじゃなくて、お借りして楽しく一緒に生活をして、向こうで会えた時に『ありがとうございました』って言える生活を送りたい」

この言葉を体現するように、移植後、松田さんは結婚し、パートタイムで仕事もしています。

しかし国内は深刻なドナー不足で、移植を希望してから手術までの期間は年々長くなっており、6年から7年程度の待機が必要になると見込まれています。

松田さんは移植を待つ間、植え込み型の補助人工心臓を装着。補助人工心臓の充電器やコントローラーは、へそのあたりから出ている白いケーブルで体内にあるポンプとつながり、血液を全身に送り出して弱った心臓を助けます。

松田さん「感染症がやっぱりちょっとつらかったですね」

ケーブルが体の外に出ているため、毎日消毒をしても感染症になることや、血が固まらないようにする薬を飲まなければならず、脳出血などの合併症を起こすことがあるといいます。

この補助人工心臓、移植までの橋渡しとして使われてきましたが、ある転機が。

東大病院心臓外科・小野稔教授「補助人工心臓を使えば、何年も元気でいられるような、その治療が日本でいつから可能になるか心待ちにしていた」

年齢などの理由で、移植を受ける資格がない患者も、保険適用でとりつけが可能になったのです。

去年、補助人工心臓をつけた宮崎久志さん(64)。この治療法は、アメリカなど海外で先行して行われ、心臓移植までの経由地でなく、次のステップがない最終地の治療となる終末期医療のため「デスティネーション(最終地)セラピー(治療法)」と呼ばれています。

宮崎さん「急に大きなため息をついたり、胸の息苦しさとかまったくありません」

妻・佳子さん「よく笑えるようになって本当にすごいと思います」

日課の散歩に加え、友人との会食や、近所に住む孫と遊ぶことが楽しみだという宮崎さん。

月1回程度の通院は必要ですが、自宅などで過ごすことができるため、「QOL(=生活の質)」が上がるといいます。

宮崎さんの主治医・辻正樹医師「症状はやはり良くなっているようですので、家族とともに少し遠くに旅行していただいたり、やりたいことをやっていただくのが(治療の)目的でありますので、今後進めていただければいいんじゃないかな」

しかし──

佳子さん「家族全員で協力してきたと思います。私ひとりではちょっと無理かもしれない」

手術の後、半年間は、24時間、誰か付き添わないといけないことや、合併症などのリスクから、この治療をちゅうちょする人も多いという現状が。

しかし、合併症については、機械の改良や、投薬法により以前よりもリスクが下がってきているといいます。

東大病院心臓外科・小野稔教授「(補助人工心臓を装着して)10年以上、元気に生活をするという時代は間違いなく来ると思います」

現在、この治療を受けられる施設は、都市部を中心に7か所にとどまっていますが、今月から、拡充しようという取り組みが始まっています。