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【解説】早くも熱中症に注意 必要な「暑熱順化」今から進める方法は マスクも要因に…

2023年4月20日 21:27
【解説】早くも熱中症に注意 必要な「暑熱順化」今から進める方法は マスクも要因に…

4月とは思えない夏のような暑さが続いていて、早くも熱中症への注意が必要です。

●すでに受診する人も
●今から“夏の体”に
●こんな人はなりやすい

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■早くも熱中症に注意 “水分をとっている”認識でも脱水症状に…

20日、暑さ対策について街の人に聞くと「水分補給をしながら歩いています」「吸水速乾機能がついたインナーを着たりしています」「なるべく日陰を選んで歩いていた」といった答えが聞かれました。

東京都心では、20日の日中に最高気温26.0℃を記録し今年3度目の夏日となりました。21日も最高気温が26℃まで上がる予想で、熱中症対策が必要となっています。

こうした中、環境省と気象庁は26日から「熱中症警戒アラート」の運用を開始します。実は例年、これくらいのタイミングでこのアラートが出ているといい、今年が特に早いというわけではありません。

このアラートは熱中症の危険性が極めて高いことが予測される場合に発表されるものですが、去年は全国でのべ889回、東京では10回出ました。今年の夏も、気温は北日本から西日本にかけて「平年並み」か「高い」と予想されているので、この回数を超えるかもしれません。

ただ、「いくら暑いと言ってもまだ4月だし、さすがに熱中症までは心配ないのではないか…」と思う人もいるかもしれませんが、実はすでに熱中症の症状が出ている人がいます。

東京・北区の「いとう王子神谷内科外科クリニック」を取材すると、熱中症を訴える患者が19日だけで5人訪れたといいます。

医師
「だいぶ暑いよね、外も。水分あまりとれてない?」

女性(88)
「水分はのど渇いたら飲むぐらい」

医師
「ご飯は?」

女性(88)
「ご飯はなんとか」

医師
「見た感じ、やっぱり脱水だね。今日は点滴しましょうか」

熱中症の疑いがあったこの女性は脱水症状が出ていましたが、自身は“水分をとっている”という認識だったそうです。

■体を“夏バージョン”に「暑熱順化」 無理のない範囲で汗を…

実は、まだ体が暑さに慣れていないこの時期こそ、特に熱中症に注意しなければなりません。その理由は「暑熱順化(しょねつじゅんか)」ができていない可能性があるからです。

暑熱順化とは、「暑さに体が慣れること」を表しています。暑熱順化がしっかりできていると、暑い日には汗をかいたり、皮膚の血管を広げたりして、体から熱が逃げやすいように調節がききます。そのため、熱中症になりにくくなります。

ところが、体が“冬バージョン”のままだと、逆に熱をため込もうとします。気温が高いにもかかわらず体から熱が逃げず、熱中症になりやすい状態になってしまうという仕組みになっています。

そのため、今から暑熱順化をすすめて、体を“夏バージョン”に切り替える必要があります。では、具体的に何をしたらいいのでしょうか。

本格的な夏になり毎日のように「猛暑日」となる前に「無理のない範囲で汗をかく」ことが大切です。そのために例えば、お風呂はシャワーで済ませず湯船につかる、1回30分ほどを目安に筋トレやストレッチをするということがあります。もし時間に余裕があれば、ウオーキングやジョギングもおすすめです。難しければ、ひと駅分歩く、なるべく階段を使うなどして、日常生活の延長上で意識をして汗をかくのも良さそうです。

では、どれくらい続ければいいのでしょうか。

個人差もありますが、暑熱順化には数日から2週間程度かかると言われています。そのため、暑くなる前からある程度時間に余裕をもって備えておくことが大切です。

■熱中症への備えに「保険」も 家族のために…

最近では、熱中症への備えとして、「熱中症保険」というものもあります。

スマホ決済アプリで1日100円から加入できて、当日の申し込みも可能というものです。「熱中症」と診断された場合、治療保険金1万円や入院保険金3万円などが支払われるというものです。去年は4月から10月に提供され、今年も20日から提供が始まりました。

去年の加入件数は6万件ということで、子どもの部活動に備えるためや、遠方に住む高齢の家族のために、申込者本人ではなく子どもや親など家族のための契約が半数を占めたそうです。

■熱中症になりやすい人は? “冷え性”も…

ただ、やはり熱中症にならないのが一番です。どのような人が熱中症になりやすいのか。

熱中症になりやすい人(せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅司院長による)
(1)手足が冷たい人
 冷え性だと汗をかきにくいということです。

(2)汗っかきの人
 体から出る水分が多いので要注意ということです。外遊びをする子どもも、汗をかいたら水分補給を徹底するようにしましょう。

(3)緑茶・コーヒーなどを多くとっている人
 緑茶・コーヒーは利尿作用があり、水分をとっているつもりでも必要な水分が出ていってしまう可能性があります。おすすめはカフェインの入っていない麦茶です。

さらに、マスクをしている人はまだまだ多いですが、マスクも熱中症を引き起こしやすい要因の1つです。

顔周りに熱がこもりやすいことや、のどの渇きに気づきにくくなるということが理由です。なんとなく様子見でマスクをしている人も多いと思いますが、必要のない時はマスクを外す意識を持つことも大切です。

    ◇

今週は暑い日が続きますが、来週にはまた気温がぐっと下がる日もある予想で、体温調整が難しい日々が続きそうです。体調管理に気をつけましょう。

(2023年4月20日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)

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