観光資源は「つけ麺」や「カブトムシ」 “聖地”アピールで観光客誘致
その土地の名物や歴史などを観光資源として活かし、新たな“聖地”として観光客を呼び込む動きがあります。つけ麺の発祥の地とされる東京・中野区では、“つけ麺の聖地化”を目指しています。福島・田村市では多くのカブトムシが生息することなどに目をつけ、市役所に「昆虫課」を設置。虫を使った町おこしをしています。
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東京・中野区の「つけ麺 しろぼし」。水でキリっとしめた食べ応えのある麺に、12種類の野菜や果物が溶け込んだスープをそれぞれ別の器に盛りつければ、暑い夏に無性に食べたくなる「つけ麺」の完成です。作っているのは元力士で「ちゃんこ鍋」の技を取り入れた自慢の一品です。
客
「基本はラーメンだけど、ここではつけ麺を食べている」
客
「ラーメンより食べやすいというか、肉団子がすごくおいしいので」
この店があるのが東京・中野区、知る人ぞ知る「つけ麺」の激戦区です。区内の施設には、たくさんのパンフレットの中に「中野つけ麺マップ」が用意されていました。中野区でつけ麺を提供する約80店舗の特徴が掲載されています。
中野区観光協会 橋本正太郎理事
「“つけ麺愛”の塊ですね。中野区自体がつけ麺の発祥の地ということで、“つけ麺の聖地”として、発信地として盛り上げていきたい」
実は、中野区は「つけ麺発祥の地」とされています。中野区観光協会によると今から70年ほど前、ある店で「麺」と「スープ」を別々にし「つけそば」として提供したのが始まりといわれています。その歴史を観光資源にしようと有志らが集い、“聖地化”を目指しているのです。
「つけ麺マップ」の配布を始めて約2か月。制作した1万部のうち、すでに9割が人の手にわたったといいます。店舗も効果を感じていて、売り上げも増えているといいます。
つけ麺 しろぼし・店主 木村謹仁さん
「ご新規のお客様はすごく増えていると思いまして、『マップを見て来ました』という方もいらっしゃいますし」
今後の目標は、ラーメンに続けと「つけ麺」を世界にアピールすることです。
「つけ麺」の認知度はいかほどなのか。中野にいた外国人観光客に聞いてみると、やや渋い結果になりました。
アメリカから来た人
「これは何ですか? 麺とスープが一緒のものしか見たことがありません」
オーストラリアから来た人
「メニューでは見たことあるけど、食べたことはありません。スープと一緒がいいです。分ける意味がわかりません」
ただ、発想を変えれば“伸びしろ”だらけ。中野区は今後も「つけ麺」の魅力を発信していきます。
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福島・田村市が“聖地化”を目指すのは、ずばり「昆虫」です。
そもそも、大自然あふれる田村市では、多くのカブトムシが生息し、希少なミヤマクワガタなども捕れる、まさに“昆虫の宝庫”です。
全国でも珍しい、カブトムシと触れ合える施設「ムシムシランド」があるなど、以前から虫を使った“町おこし”をしてきました。(夏季営業は8月20日まで)
今では、ふるさと納税の返礼品に「オオクワガタ飼育セット」が登場するまでになっています。(※9月以降の発送)
こうした中、7月に市役所に「昆虫課」が設置されました。昆虫が採れるスポットを紹介したり、魅力をSNSで発信したりする全国初の部署です。課長にはゆるいキャラクター、その名も「カブトン」が就任しました。
福島・田村市 観光交流課 鈴木美智係長
「昆虫を活用した交流人口の拡大に取り組んでいきたい」
町それぞれの魅力を使い、あの手この手で“聖地化”を目指す動き。観光客を呼び込む起爆剤になるか注目です。