【解説】新型コロナ“第8波”来るか… 今冬はインフルエンザと「同時流行」懸念 新たな「変異系統」確認…“免疫逃避”強くワクチン効きにくい?
新型コロナウイルスのオミクロン株の新たな変異系統が確認されていますが、今後、懸念されている“第8波”には、どんな影響があるのでしょうか。
「東京6日連続で前週より増加」
「感染状況に地域差」
「『XBB』東京初確認」
以上の3点について詳しくお伝えします。
厚生労働省によると、28日午前0時までに報告された東京都の新型コロナの新規感染者数は3520人で、21日に比べて680人増え、6日連続で前の週の同じ曜日より増えています。また、全国の新たな感染者は3万9254人で、こちらも21日と比べて7662人増えています。
こうした中、厚労省の専門家会議は「“第8波”が起きる可能性は非常に高い」との見解を示しています。
一方で、感染状況に「地域差」が出てきています。
厚労省のホームページによると、全国で直近1週間の10万人あたりの感染者数は、先週と比べて0.96倍となり、横ばいとなっています。
首都圏をみてみると、全国平均を少し下回っています。
東京 0.94倍
埼玉 0.94倍
神奈川 0.97倍
千葉 0.95倍
一方で、北海道や岩手などでは増加がみられ、地域差が出ています。
北海道 1.13倍
岩手 1.16倍
兵庫 1.15倍
広島 1.11倍
香川 1.20倍
愛媛 1.20倍
専門家会議は、増加の理由について、「連休の影響が、かなりあったのではないか」と話していました。
専門家会議では、この冬には新型コロナの流行拡大やインフルエンザの流行が“早期に始まる”可能性もあり、同時流行するということへの懸念も示されました。
厚労省は、この冬には新型コロナの患者が1日あたり45万人、そして、インフルエンザの患者が30万人発生することで、あわせて1日あたり75万人の感染者が出ることも想定しています。
同時流行すると発熱外来がひっ迫する可能性があるとして、加藤厚生労働相は28日、リーフレットを国民向けに発表して、対策を呼びかけました。
加藤厚生労働相
「感染拡大する前に、まず、ワクチン接種をご検討いただきたい。また、発熱など体調不良時に備えて、国が承認した『新型コロナ抗原定性検査キット』、『解熱鎮痛剤』を早めに購入していただきたい」
今できる対策としては、まず、「新型コロナワクチンとインフルエンザのワクチンの接種を検討してください」と呼びかけています。
それから、体調が不良になったときに備えて、抗原検査キットや解熱鎮痛剤の早めの購入や、自分が住んでいる地域の電話相談窓口をあらかじめ確認しておくことなどを呼びかけています。
年末に向けて人と接触する機会が増えていくことが考えられる中、心配なのは新たな変異株も出てきていることです。
27日、東京都の感染状況を分析する会議では、「『XBB系統』を注視する必要がある」と発言がありました。
東京iCDC 賀来満夫所長
「『XBB系統』は、世界において局所的に優位な増加をみせているので、より注視していく必要があります」
現在、感染の主流となっているのはオミクロン株の「BA.5」ですが、海外ではオミクロン株の新たな変異系統である「XBB」や「BQ.1(BQ.1.1含む)」などが広がっています。
これらが心配なのは、“免疫逃避が強い”、つまり「ワクチンなどの免疫が効きにくい・働きにくい」という指摘がされています。
「XBB」は、専門家によると、通称「グリフォン(ギリシャ神話に登場する頭と翼がワシで、胴体はライオンという怪物)」とも呼ばれています。今月10日時点で、21か国で見つかっていて、先月、シンガポールで初めて確認されましたが、そのシンガポールでは、すでに主流に置き換わっています。ただ、重症者数の増加はみられていません。
日本ではどうかというと、これまでに検疫で7件、確認されていましたが、27日、東京都でも6件確認されたと発表されました。
「BQ.1」は、通称「ケルベロス(ギリシャ神話で、死後の世界の入口の番犬で、3つの頭もつ)」と呼ばれています。アメリカやイギリスなど48か国で確認されていて、東京都では46件確認されています。
東京都の会議では、「局地的には増加していますが、世界的に主流となる兆候はみられていない」ということです。
日本感染症学会の専門医、東京歯科大学・市川総合病院の寺嶋毅先生によると、「特に『BQ.1』についてはこの先、日本で『BA.5』から置き換わる可能性が高いと感じる」と話していました。
その理由は、「現在、入国制限が緩和されて、アメリカやヨーロッパなどから人がこれから入ってきそうだ」ということ、それから「新たな変異株の広がり具合が、“第8波”の大きさに影響してくると思う」ということです。
◇
もし“第8波”の人数が大きくなるとしても、準備次第では病院での検査や重症者を減らすといったことで、社会への影響を抑制することも可能です。これから落ち着いて備えができる今、この時期を無駄にしないように努めていくことが大切です。
(2022年10月28日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)