密を“可視化”で混雑回避 JR東日本が実証実験を開始
いまだ終息の気配がない新型コロナウイルス。感染のリバウンドが始まっているとの指摘もある中、人出が戻った場所では密を避ける新たな取り組みが進み、JR東日本ではある実証実験を開始しました。
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東京・台東区にあるイタリアンレストラン「Inf~隅田川イタリアン~」の売りの一つが、目の前に隅田川がのぞめるテラス席です。
Inf~隅田川イタリアン~ 谷将典オーナー
「第2会場が当店の目の前から打ち上がるということで、非常に近い距離でお楽しみいただける」
毎年7月に開催され、例年約100万人が集まる隅田川花火大会は、関係者によると、今年も感染状況が見通せず、3年連続中止の方向で最終調整されているということです。
実は、「Inf~隅田川イタリアン~」のオープンは2020年で、これまで1度も、お店で隅田川の花火を見られていないのです。
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いまだ終息の気配がない新型コロナウイルス。東京都では7日、新たに8753人の感染が確認され、4日ぶりに先週の同じ曜日を上回りました。
こうした中、7日、政府分科会・尾身茂会長が岸田首相の元を訪れました。議論したテーマの一つが、「若者のワクチン接種をどう促進するか」でした。
政府分科会 尾身茂会長
「若い人たちも(感染による)後遺症なんかがありますよね。そういう意味でご自分の健康を守るために、ぜひ機会があれば打つようにメッセージを出していただければ」
岸田首相は7日、伸び悩みが続く若者の3回目接種を促進させるための施策を発表する一方、政府は3回目の接種を条件に、イベントチケットを割引する「イベントワクワク割」の実施も検討しています。
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新年度が始まり1週間が経過した7日朝、通勤時間帯の東京・大井町駅を見てみると、ホームや車内には大勢の人の姿がありました。
通勤で電車利用 会社員
「結構、満員ですね」
「時間帯によっては、すごく混んでいて嫌だなと」
混雑を避けるため、JR東日本が今週からある実証実験を開始しました。提供している経路検索アプリに、中央線快速や山手線など首都圏を走る23路線を対象とした車内の混雑状況がわかる機能を追加したのです。
直近30日のデータを基に予測し、今回は「新宿から東京までは混雑率141%、肩がふれあう程度の混雑」と表示されました。混雑状況がわかることで、時間や路線をずらす参考にできるということです。
背景にはやはり、コロナの影響があったといいます。
JR東日本フロンティアサービス研究所 松本貴之さん
「『以前だったら、気にならなかった混雑でも気になる』というお声をたくさん聞くことができましたので、そこは重要なんだろうなと」
JR東日本では6月まで実証実験を行い、実用化も検討していく予定です。
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埼玉・飯能市でも、密を避けるための取り組みが行われています。飯能河原では、無料でバーベキューなどが楽しめるとあって人気です。7日、看板に貼られた張り紙には、「有料化」の文字がありました。今月21日から来月8日まで、期間限定で有料にして実証実験を行うと話します。
飯能市 観光・エコツーリズム推進課 町田誉之主幹
「(去年は)かなり人であふれかえってしまって、なかなか安心して楽しむことができなかった」
去年の夏は、緊急事態宣言下でも屋外で遊べるとあって、県外から訪れる人が殺到しました。密状態となり、一時、閉鎖することもありましたが、今年は有料化に加え、1日50グループまでの人数制限などを行うことで、「少しでも密を分散させたい」といいます。徴収したお金は河原の清掃活動などに使われ、利用者が快適に過ごせる環境作りを行うということです。
4月7日午後5時50分ごろ放送『news every.』より。