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【特集】「軽んじていた」冊子に込めた思い 「忘れないように」 犠牲を払い学んだこと <福井豪雨から20年>シリーズ④

2024年7月18日 20:18
【特集】「軽んじていた」冊子に込めた思い 「忘れないように」 犠牲を払い学んだこと <福井豪雨から20年>シリーズ④

福井豪雨の翌年に完成した冊子があります。

「恐怖の1日」
「まさか堤防が決壊するとは」
「泥だらけの台所用品などをながめて途方に暮れた毎日」

「7.18、あの日!」。そこには被災した住民の率直な思いが記録されています。

冊子の制作に携わった田中芳枝さん(77)。自身も新築の自宅が床上浸水しましたが、復旧が進む中で、地域の人たちにある思いが芽生えたといいます。

■田中芳枝さん
「このままでは悔しいね、自然に負けたまま終わるのもあれやしねって」
「これは私たちだけじゃなくて、福井市民も県民もみんなに分かってもらって、忘れないようにという思いで本になった」

制作した800部の冊子はあっという間になくなり、全国から反響が寄せられました。

制作に携わる中で気づいたのは、ほとんどの住民が災害への備えをしていなかったという事実でした。

■田中芳枝さん
「あんまり軽んじてたというか。みんな忘れかけていたから、危険を知らせたのかなって。もっとしっかりしなさいよって」
「かなりの犠牲を払いながら、教えてもらった感じです」

あの日以来、田中さんは非常時に必要な物のリストをまとめ、大雨の予報が出たら2階に準備できるようにしています。

■田中芳枝さん
「明日起こるかも分からない。そのことに、いつでも落ち着いて向き合えるだけの備えと準備はしておかないといけないと思うんですよね」

住民の意識を大きく変えた福井豪雨。20年が経った今、田中さんが思うことは。

■田中芳枝さん
「たぶん多くの人の頭の中には(福井豪雨のことは)ないと思うんですよね。でも、せめて被災者の住む福井市の人たちは忘れないでほしい」

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