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【北陸新幹線】どうなる敦賀から西の延伸 京都が懸念する地下水への影響 専門家の見解は、財源問題も問う

2025年3月11日 21:28
【北陸新幹線】どうなる敦賀から西の延伸 京都が懸念する地下水への影響 専門家の見解は、財源問題も問う

新幹線開業から1年を前に今週はこの1年の成果や課題をシリーズでお伝えしています。2回目のきょうは停滞感も漂う「敦賀から西の延伸」です。カギを握るのは沿線の「京都の理解」です。

■京都市 松井孝治市長
「酒造りだけではなく、京料理や染色など京都の生活文化、産業文化を支えてきた水に対する懸念を申し上げました」

敦賀から西への延伸に反発している京都府や京都市。その理由の1つが「地下水への影響」です。

こうした声を受けて、延伸ルートを選ぶ際にも3つあった案の中から、地下水への影響が最も大きいとされる東西案が除かれました。

■与党整備委員会 西田昌司委員長
「国の方から情報を説明させていただきたい。その機会を作るために、知事と市長に協力をもらいたい」

与党の整備委員会は、地下水への影響に対する不安を払拭するため、科学的根拠に基づいた情報発信が必要としていて、国土交通省などが年内に説明会を開催する予定です。

しかし、地下水に関する京都の反発には矛盾があると指摘する声も。

■京都大学 藤井聡教授
「今回の工法よりも、もっと激しく地下水に悪影響を及ぼすことが明らかな事業を、京都市はこれまでも何度もしてきている」

新幹線など国土計画の専門家で元内閣官房参与の京都大学の藤井聡教授。矛盾しているというのは、京都市が進めようとしている地下トンネル計画です。

■京都大学 藤井聡教授
「京都市長自身が、南北案と類似した道路事業を堀川通りで行うことを政府に要求している実績がある。それが京都市長として問題ないと考えているのであれば、南北案というものも大きな問題はない」

地下水の問題に加えて、京都府や市が懸念する理由は他にもあります。その1つがお金の問題です。

新幹線の建設費の内訳は、まず施設使用料にあたるJRからの貸付料を充て、それ以外を国がその3分の2、地方が3分の1負担しています。ただ、すでに新幹線が通っている京都としては、莫大な建設費を負担してまで延伸を望んでいないのが現状です。

与党の整備委員会では、地方負担を減らすことを前提に、本格的な財源の議論を始めるとしていますが、3兆円を超える巨額の建設費をどのように工面するかが大きなポイントです。

藤井教授は財源確保に向け、国費の増額とJRの貸付料見直しの2つのポイントを指摘しています。

国土交通省の鉄道関連予算は、毎年およそ1000億円。このうち800億円が新幹線事業に充てられています。これをもっと増やしたいところですが、国の予算編成のルールで、社会保障費以外は当初予算全体として333億円しか前年から増額しないという、いわば「天井」があり、大幅な増額は難しいのが現状です。

しかし、藤井教授は増額の可能性はあると指摘しています。

■京都大学 藤井聡教授
「留保事項の項目があって、そういった規律のせいで重要な政策ができなくなるのは避けねばならないという文言が入っている。内閣官房参与として、いろんな事業について検討評価構想をしてきたが、北陸新幹線はその中でもとりわけ重要な国家事業であると確信をしている。政府あるいは首相官邸が、あるいは国交省や財務省が理解することは十二分以上にありえる」

貸付料とは、JRが払う施設使用料のことで家賃のようなもの。藤井教授はこの家賃の計算方法がアップデートされておらず、現在のインバウンド需要やインフレが反映されていないと指摘しています。また、貸付料は現在30年分で計算されているところを、期間の延長も検討すべきとしています。

■京都大学 藤井聡教授
「事実上、東海道新幹線は50年以上供用して、いまだに立派に働けていることを考えると、50年とか倍の60年とかに変えていくのもこれからの議論において重要な論点になる」

延伸にはまだまだハードルがあるわけですが、北陸新幹線には災害時の東海道新幹線の"バックアップルート"という側面もあり、ここから先は国土強靭化の観点からの検討が必要不可欠です。

最終更新日:2025年3月11日 21:28
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