JA福井県は入札量の約9割を落札 備蓄米の初回入札 県産ハナエチゼンなど優先 今秋のコメ確保へ難しいかじ取りに
コメの流通の円滑化を目指して政府が行なった備蓄米の入札で、JA福井県は入札した量のおよそ9割を落札しました。一方、放出した備蓄米は将来的に国が買い戻すという条件があり、入札した量のコメを確保できるかどうか、難しいかじ取りを迫られます。
■リポート 吉岡弘起記者
「初回の入札から一夜明け、入札の結果が届きました。早ければ、今月半ばにも備蓄米の引き渡しが始まります」
JA福井県の担当者のもとには11日、農林水産省から入札した量のおよそ9割を落札したとの通知が届きました。
■JA福井県米穀販売課 高山祐一課長代理
「できれば全量落札したかったけれど、当組合の価格以上に入札価格を設定したところがあったという結果」
JA福井県では、2度目の入札への参加は見送ったということです。
コメの流通の円滑化を目指して放出される備蓄米。21万トンを2回に分けて市場に放出する計画で、初回は全国の合わせて41品種15万トン分の入札が行われ、このうち県内産はハナエチゼンなど2400トン余りが含まれています。
一方で、放出した備蓄米は将来的に国が買い戻すという条件があり、この春から流通するコメは、秋に収穫するコメからのいわゆる“借り受け”となります。今後、コメ不足などが発生した場合に、入札した量のコメを確保できるのか、難しいかじ取りを迫られます。
■JA福井県米穀販売課 高山祐一課長代理
「(この秋の令和)7年産で返すのであれば、7年産米が少なくなる状況になる。今の情勢が落ちつくまではコメを返すことが難しい」
備蓄米は早ければ今月下旬にも、卸業者を経て小売店の店頭に並ぶ見通しですが、どこまでコメの値下がりにつながるかは不透明です。農林水産省では、残りの6万トンについても、速やかに入札の準備を進めるとしています。
仮に今回、備蓄米の落札ができなかった場合、県内の卸業者にコメが入りにくくなり、高値が続く可能性がありました。備蓄米を無事に確保できたことで、県内の流通量は増える見通しが立ったものの、価格に与える影響は限定的とみられます。
なお、入札が終了する13日以降に公表される入札の平均価格によって、残りの6万トンの入札時期や追加の放出量が決まる見通しです。