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「大熊は共に成長していける場所」震災後、大熊町で起業し世界を視野に挑む・福島県

2025年3月7日 18:53
「大熊は共に成長していける場所」震災後、大熊町で起業し世界を視野に挑む・福島県
大熊町をはじめ原発事故で避難区域となった地域には、いま新しい会社が次々と進出しています。
震災後、大熊町で起業し新たにこの施設に拠点を移す会社を取材しました。

■李顕一さん
「うちの会社【OKUMA DRONE】株式会社といいまして、水素燃料電池の開発とかドローンの開発を行っております。大熊町で創業したドローンの会社ということで、OKUMA DRONEという会社名になっています」
代表の李顕一さん。
環境に優しい水素を燃料とするドローンや水素燃料電池の開発を行っています。
■李さん
「こちらが弊社のオフィスになります。まだ荷物はないんですけどこれから荷物運び込んできてここで事務作業とか行う予定です」

福島に縁もゆかりもなかった李さん。会社員時代に、南相馬市でドローンを使ったプロジェクトに関わり福島との接点が生まれます。
李さんの「起業したい」という夢の後押しになったのが元は小学校だった建物をリノベーションした起業支援の拠点・大熊インキュベーションセンターです。
■李さん
「大熊町って新しい企業に対して非常にサポートしていただける体制があるということで我々としても大熊町で起業するメリットがあるんだろうなと、大熊町で起業しました」
ここで起業し、4年。さらに事業を成長させたいとCREVAおおくまに拠点を移すと決めました。
■李さん
「不安はないと言ったら嘘になってしまうんですけど。我々がそこに一番最初に入って町づくりと一緒に企業を作っていくことができれば、逆に言うと新しいチャンスになるんじゃないかと」

地元浜通りのスタッフを二人採用している一方、今年に入ってすでに2回海外の展示会に出展するなど世界を見据えています。
■李さん
「我々はもちろん大熊町で工場を作ってそこで製品を開発していくってところは変わらないんですけど、我々のターゲットはあくまで、世界に出ていけるような製品を大熊町で作って世界で売ってくといったところ」

大熊の名を世界へ。李さんがここから思い描く未来は。
■李さん
「大熊は私にとっては、共に成長していける場所。大熊町はゼロからまちづくりを始めていて、そこから復興していくというステージだと思うんですけど、我々の会社も大熊町で2021年に発足して、そこから今本当に大熊町とともに成長している、一緒に成長できる場だなと思っています」

「CREVAおおくま」がある大野駅周辺は震災前、町の玄関口として多くの人が利用していました。商店街には40ほどのお店が並びここには人のにぎわいがありました。しかし原発事故で全ての町民が避難し約10年もの間手つかずのままに。駅周辺は、3年前に避難指示が解除されたものの大熊町には帰還困難区域が残り、いま町で暮らす人は1300人あまりと震災前の1割ほどです。この施設が町の活気につながればと吉田町長は期待を込めます。

■大熊町吉田淳町長
「大熊町震災でまさにゼロからのスタートになったわけですけれども、ここまで来てるんですよっていうことを認知していただければなというふうに思ってます。復興の象徴、そういったものにしたい、なってもらいたい」

再び大熊町ににぎわいを生み出す―あの日から14年、ここから始まります。
最終更新日:2025年3月7日 18:54
福島中央テレビのニュース