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専門家会議 PFASの血中濃度など調査強化の方向性示す

2023年7月25日 23:36
専門家会議 PFASの血中濃度など調査強化の方向性示す

一部地域の河川や地下水などから人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出されている問題。市民団体による血液検査で、血中濃度が高い住民がいることも明らかとなっていて、健康への影響が懸念されている。欧米では規制強化の動きが拡大する中、25日、環境省の専門家会議では、血中濃度などの調査を強化する方向性が示された。

25日の会議では、PFASのうち、代表的な物質、PFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)への対応として、一般的な国民がどの程度ばく露しているか(体内に取り込んでいるか)を把握するため、すでに実施している血液や尿中の濃度調査などを強化する方向性が示された。

さらにPFASをめぐっては、健康影響に関する科学的知見や対策技術などが不足していることから、専門家会議は国内外の継続的な知見の収集と、国内で関連する研究を推進すべきとしている。

一方で、一部の国ではより厳しい基準も設けられている水質の暫定目標値については、WHOなどの動向も踏まえ、引き続き検討する必要があるとの表現にとどめられた。

25日の会議では、不安を抱える住民や自治体に向けたPFOS・PFOAに関するQ&A集の内容も概ね了承され、環境省の担当者は早ければ今月中にも取りまとめ、自治体などに通知する考えを明らかにした。

■PFASとは?

PFASとは有機フッ素化合物のうち、高度にフッ素化されたペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物を総称して呼ぶもので、約4700種類以上あるとされている。水や油をはじく、熱や薬品に強い、光を吸収しないなど独特の性質を持ち、幅広い用途で使用されている。

このうち、PFOS(ピーフォス:ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、半導体用反射防止剤や、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOA(ピーフォア:ペルフルオロオクタン酸)は、焦げつかないフライパンを製造する際のフッ素ポリマー加工助剤などとして世界的に普及した。

一方で、自然には分解されにくく、環境や体内に蓄積しやすいため、「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれている。国際的にも、人体や環境への悪影響を有する化学物質を規制するストックホルム条約に基づいて、PFOSは2009年、PFOAは2019年に廃絶の対象とされ、国内でも2021年までに製造・輸入などを原則禁止している。

■人の健康への影響は?

欧州などの研究結果では、ワクチンに対する反応の低下、低出生体重、甲状腺疾患、高コレステロール血症、肝障害、腎臓がん、精巣がんなどのリスクを高める可能性が指摘されている。

一方で、環境省は、PFOS、PFOAの摂取が主たる要因として疾病等の形で人の健康被害が発生したという事例はないとしている。現時点では、PFOS、PFOAが人体に影響を与えるメカニズムが解明されておらず、これまでの知見では、どの程度の血中濃度で、どのような健康影響が生じるかについても明らかになっていないという。

しかし、リスク管理の観点から、環境省は、泡消火設備などの管理の強化や適正処理の徹底、目標値を超えた濃度で検出されている地域での対応の継続と拡充、わかりやすい情報発信、モニタリング調査の強化や研究の推進などを検討。今回の専門家会議で、概ねの方向性がとりまとめられた。

■汚染はどこまで広がっている?

日本では2020年に飲み水1リットルあたりのPFOSとPFOAを合算で50ナノグラム以下にとどめる暫定指針値を設けた。2021年度に環境省が31都道府県の1133地点(河川:703地点、湖沼:29地点、海域:84地点、地下水:317地点)で実施した水質測定では、13都府県、81地点(河川:38地点、地下水:43地点)で、この暫定指針値を上回っている。

なお、世界保健機関(WHO)は昨年9月、PFOS、PFOAそれぞれについて水1リットルあたり100ナノグラム以下、PFAS合計で500ナノグラム以下とする暫定値を示した。

一方アメリカでは、今年3月、PFOS、PFOAの規制値をそれぞれ4ナノグラムとする案が示されている。

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