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社員のせい? 会見から見えたビッグモーターの問題点 専門家「組織的じゃない…無理がある」

2023年7月26日 5:58
社員のせい? 会見から見えたビッグモーターの問題点 専門家「組織的じゃない…無理がある」

保険金不正請求問題の報道後初めて、ビッグモーターの兼重宏行社長が公の場で記者会見に応じました。社長の話からは、責任感のなさなど様々な問題が見えています。また、専門家たちは「組織的じゃない」という言葉に疑問を呈しています。

■会見後「社員のせい」トレンド入り 社長の責任感のなさが…

有働由美子キャスター
「こちら、記者会見終了後のTwitterのトレンドランキングです」

●会見終了後トレンドランキング(※25日午後1時半ごろ/Yahoo!リアルタイム検索)
 1.ゴルフを愛する人への冒瀆(ぼうとく)
 2.板金部門
 3.環境整備
 4.卓越したビジネスモデル
 5.兼重宏行社長
 6.社員のせい
 7.兼重社長
 8.ビッグモーター会見

有働キャスター
「1位の『ゴルフを愛する人への冒瀆』、車じゃなくてゴルフだったんですけれども…1位から8位までをビッグモーター関連が占めました。2位の『板金部門』ですが、社長が『不正は板金塗装部門の単独で、工場長が指示してやったんじゃないか』などと言ったことが、『社員のせい』にしていると多くの人には映ったということですね」

小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「社長の話からいろんな問題が見えてきました。まず、『社長の責任感のなさ』です。社長は『売り上げ全体で見ると板金部門は2~3%。ついつい目が行くのは営業部門。利益の数字しか見ていなかった。現場でどういうことが行われているかを把握しようとしていなかった』と述べたのです」

有働キャスター
「社長としてあり得ないですよね…」

小野解説委員
「この発言に専門家も厳しいことを言っています。企業のリスク管理を専門とするコンプライアンス・コミュニケーションズの藤井裕之代表は、『責任感が欠如していると思う。そもそもこの会見で部門の売り上げの話をすること自体おかしい』と話していました」

■内部告発を見過ごし… 「組織的じゃないというのは無理がある」

小野解説委員
「2つ目の問題です。去年1月にあった内部告発を見過ごしたことについて、社長は『過去にその人間から何度も仲間との確執の報告があった。またか、と部長を派遣したところ“仲良くやることになった”というので、それで解決したなと』と述べたのです」

有働キャスター
「内部告発は非常に重大なことなのに、それをもめ事のように処理してしまうというところがちょっと信じられないですね」

小野解説委員
「これについて、慶応大学元教授の梅津光弘さんは『見て見ぬふり。最悪の場合、隠蔽(いんぺい)工作をしたと言われても仕方ない』と話していました」

「そして3つ目の問題が、現場へのプレッシャーです。社長は『会社の業績を上げようとしていた。それが行き過ぎになっていたのか。誰がみても不合理な目標を現場に求め、プレッシャーをかけていた』と述べました。これが根本にある問題ですよね。これに、経済ジャーナリストで千葉商科大の磯山友幸教授は『数字のためには多少の不正は問わないというムードを作ってしまった経営者の姿勢に問題がある』と話していました」

「そして25日の会見で、社長が一貫して言い続けたのは、『経営陣は不正を知らなかった』『組織的なものではない』ということです。しかし、104人も不正に関わっていたわけです。25日に話を伺った3人の専門家も、『組織的じゃないというのは無理がある』(藤井さん)、『組織的じゃないなんて言えない』(梅津さん)、『組織的と言わざるをえない』(磯山さん)と厳しい指摘をしています」

■“責任”感じているからこそ部下に? 落合陽一に聞く

有働キャスター
「プロの目から見てもこの対応はあり得ないということですが、落合さんはどうみますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「皆さんの言葉には『責任感がない』とありましたが、僕はこの人が責任を感じていると思うんですけれども。責任を自分で取りたくないので、部下に責任を回したりとか、そういった答弁になっているのではないかと逆に思っています。僕の印象では、こういう責任を切り分けるタイプの経営者は、自分に都合の悪い指示は記録に残らないようにするタイプが多いので、今後どういう風に展開するのかなと思っています」

有働キャスター
「会見で社員に対して『刑事告訴』という言葉まで使ってしまう社長…いったい社員の皆さんが、どんな気持ちで聞いていたんだろうなと思ってしまいました。26日は、国土交通省がビッグモーターの取締役に対し、ヒアリング調査を行う予定です」

(7月25日放送『news zero』より)