無罪なのになぜ戻らない? 交通事故での運転免許取り消し『無効』訴え 福岡高裁は1審支持
交通事故をめぐる刑事裁判で無罪となったにもかかわらず、運転免許の取り消し処分が変わらないのはなぜなのでしょか。免許の取り消しは無効だとして、福岡県を相手取り裁判を始めた福岡市の女性について、福岡高等裁判所は26日、1審に続き、女性の訴えを認めました。
■原告・優子さん(45)
「悪くないのに戻って来ないのはおかしい。自分の中でも活動してきた中でも、一区切りついた。」
訴えを起こしているのは、福岡市に住む45歳の会社員・優子さんです。
優子さんは6年前、福岡市早良区の国道で、軽トラックを運転中に原付バイクと衝突しました。当時18歳だった少年にケガをさせたとして起訴され、刑事裁判の被告となりました。
刑事裁判では、「バイクは軽トラックの前方を進行し追突した」とする検察側に対し、弁護側は「急発進したバイクが車線をまたぎ、前に飛び出してきた」と主張しました。
福岡地方裁判所は、バイクの急な車線変更の可能性を認めて優子さんに無罪を言い渡し、検察側は控訴せず、判決が確定しました。
しかし、その後も福岡県公安委員会による『運転免許』の取り消し処分は変わらないままです。無罪なのになぜ変わらないのか、優子さんは免許の取り消しは無効だとして、福岡県を相手取り、裁判を起こしました。
この裁判の中、県は「刑事処分と行政処分は全くの別物。同じ事実関係について、異なる事実認定や判断などが行われることはままあることである」と述べました。
刑事裁判の判決で認められた事故態様には「不合理な点がある」として、「事故原因はあくまでも優子さんの前方不注意にある」と主張しました。
26日の控訴審判決で福岡高等裁判所は、優子さんの不注意で事故が起きたとは認められないとして、1審判決を支持し、免許の取り消しは無効と判断しました。
■優子さん
「上告はしないでいただきたいと思うし、何をもって上告されるのかというのが本音。(免許が戻れば)旅行が好きなので、長崎とか熊本に1人でボンボン行けるようになれば幸せだなと思います。」
公安委員会の訴訟の実務を行う福岡県警は、「判決内容を精査したうえで適切に対処していきたい」としています。