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『ベビーシッター割引券』停止から急きょ再開 見えてきた課題 福岡では

2023年10月19日 17:35
『ベビーシッター割引券』停止から急きょ再開 見えてきた課題 福岡では

国の子育て支援事業『ベビーシッター利用割引券』についてです。政府は10月2日、この割引券の枚数が上限に達したとして発行を停止しましたが、保護者からの不安の声を受けて、急きょ17日から再開しました。利用者からは再開を喜ぶ声が上がる一方、課題も見えてきました。

■キッズライン・野口真穂さん(38)
「ママが用意してくれてるからお着替えしよう。」

保護者に代わって一時的に子どもを世話するのは、ベビーシッターの女性です。

仕事や冠婚葬祭で育児の支援を必要とする保護者から週に4回ほど依頼が入り、子どもの面倒を見ています。料金は1時間1500円から3000円ほどと、依頼する親にとっては安くはない金額です。

■野口さん
「私の今うかがっているお客様は、半数以上が割引券を利用している家庭。」

割引券、というのは『ベビーシッター利用割引券』のことです。国が承認した企業で働く人がベビーシッターを利用する際、1日で最大4400円の補助を受けられるものです。

福岡市に住む2歳の双子の母親・牛島智絵さん(39)も割引券を利用しています。

■牛島智絵さん(39)
「大きいですよね。月5万2800円ぐらいの補助になるので。それが実費で出ていくと思うと、やっぱりそこの分は仕事調整つけて家にいないといけなかったりとか、その分仕事できない、学びができない形になるので助かっています。」

【停止から2週間で再開】

女性の社会進出などの影響もあり、割引券の利用者は年々増加し、昨年度の使用枚数は、31万枚を超えました。

ところが10月2日、今年度の割引券の配布が上限の39万枚に達したとして、政府は新規の発行を停止することを決めたのです。

フルタイムで働く牛島さんは、突然の決定に驚きました。

■牛島さん
「(利用割引券が)なくなった時は、これを自費でやるのか、仕事の調整を夫と相談してするのか、誰か頼める人を探すのかというところは、すごく調べました。みなさんどうしているんだろうと思って。」

また、ベビーシッターを派遣している企業からも戸惑いの声が聞かれました。

■KIDSNAシッター・石毛陽子 事業責任者
「今までなんとか築いていた生活のスタイルや仕組みが一気に崩れてしまう中で、どうやって対応したらいいのか分からない、そういう意見が保護者、ベビーシッター両方から多く寄せられました。」

先の見えない状況に置かれ、困惑していたさなかでした。

■岸田首相
「ベビーシッター利用割引権については、10月17日から発行を再開することといたします。」

ベビーシッターや利用者の要望を受け、停止の発表からわずか2週間で割引券を再開することになりました。

■牛島さん
「身内に頼める範囲で頼むとか。近所に頼める人がなかなかいないので、家族でどうにかするしかないというところだったので、再開してほっとしています。」

【見えてきた課題も】


その一方で、国がすでに配布した39万枚のうち、約19万枚は利用されていないことも明らかになりました。

割引券の恩恵を受けてきた牛島さんは、必要な人が、必要な枚数を利用できるよう、周知を進めるべきだと話します。

■牛島さん
「企業側に周知してもらいたいと思っていて、福利厚生としても使えるし企業が自社の社員の労働環境を良くしようとして取り入れると、充実するものになると思う。」

子育て世代の大きな支援となっているベビーシッター利用割引券について、働きながら子育てする人たちの実態に即した運用が求められます。

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