全国で相次ぐクマの出没 福岡の隣・山口県下関市でも 九州上陸の可能性「ゼロではない」
全国でクマの出没が続いています。人が襲われる被害は、ことし4月から9月末までの半年間で105件と、すでに昨年度1年間の件数を超えています。関門海峡を隔てたお隣、山口県下関市でも、9月に相次いでクマが目撃されています。九州に渡ってくる恐れはあるのか取材しました。
9月29日、岩手県の山中で撮影された映像です。キノコを採っていた男性がクマに襲われ、軽傷を負いました。東北地方を中心に、全国でクマの被害が相次いでいます。
九州では、1987年に大分県でツキノワグマが捕獲されて以降、野生のクマは確認されておらず絶滅したとされています。
ただ、関門海峡を隔て福岡県と隣り合う山口県では、毎年クマが目撃されています。山口県内の今年度の目撃情報はすでに300件を超えていて、北九州市と隣り合う下関市でも、9月下旬、3件の目撃情報が寄せられました。
■吉村史織アナウンサー
「あちらの対岸に見えるのが山口県下関市です。波は決しておだやかではない状態ですし、大型の貨物船も行き交っています。こうした中、山口県側から北九州にクマが渡ってくる可能性はあるのでしょうか。」
■福岡市在住
「九州に来たら嫌だなと思う。九州の山なら冬眠しないかもしれない。大して寒くないから。」
「怖いと思います。」
動物の生態に詳しい専門家は、次のように分析します。
■福岡市動物園・安河内清文さん
「(Q. クマが九州に来る可能性)海とか川とか湖を泳ぐことは確認されていますので、可能性ゼロということはないですよね。」
その根拠として安河内さんがあげたのは、2018年、北海道の利尻島で106年ぶりにヒグマが出没した事例です。最短で約20キロ離れた北海道本土から、泳いで渡ったとみられています。
関門海峡は、対岸までの距離が最短で約650メートルです。
ただ、安河内さんは山口県のクマが九州を目指す可能性は低いと話します。
■安河内さん
「対岸に森がいっぱいあって、おいしそうなものがありそうだと思ったら、泳いでくる可能性はありますけど、北九州でそういった景色はなかなかないので、可能性は低いんじゃないでしょうか。」
九州で野生のクマに遭遇する確率は極めて低いと言えそうですが、そこに住む私たちは警戒心も低くなりがちです。キャンプや登山で本州を訪れる際には、クマからどう身を守るべきか忘れずに確認しておくことが大切です。
九州では絶滅しているとされるクマですが、本州や山口へ旅行される人もいるかと思います。ことしはクマが人里にも頻繁に出没していますので注意が必要です。対処法をまとめました。
クマに遭遇した場合、
▼気づかれていない場合
静かにその場から立ち去りましょう。
▼気づかれている場合
▽クマとの距離が十分にあれば、ゆっくりと後ずさりして逃げてください。背中を向けて逃げると本能的に追いかけてくることがあるので、注意が必要です。
▽クマと至近距離で出会い、攻撃されそうになったら、両腕で顔や頭を覆ってうつ伏せになるなど、ダメージを最小限にとどめることが重要です。クマは一撃を与えたあと、すぐに逃げることが多いとされています。
▼子グマを見つけた場合
近くに母グマがいる可能性が高いため、近づかずに速やかに立ち去りましょう。