二度と犠牲者を出さないために 記録的な大雨受け住民シンポジウム 福岡県久留米市
ことし7月の大雨で1人が亡くなるなど、大きな被害がでた久留米市田主丸町で、防災について考えるシンポジウムが開かれました。二度と災害による犠牲者を出さないために、住民たちが活発な意見交換を行いました。
11月18日、田主丸町の水縄小学校で開かれた防災について考えるシンポジウムは、地域の活性化に取り組む団体が主催したもので、地元の人たち150人以上が集まりました。
■シンポジウム主催者の一人・吉弘辰一さん(71)
「ようやくここまでこられたかなという、一安心感はありますけど、最後どうなるかは心配です。」
主催者の一人、吉弘辰一さんは、耳納山地で所有する山の一部が今回、土砂崩れの被害を受けました。吉弘さんが災害の恐ろしさを実感するのは、これが2度目です。
■吉弘さん
「九州北部豪雨の後に、私も生まれた地域がなくなって家族も死んでしまったので。そういったことを経験して、山のあり方をもう一度考え直そうと。」
6年前の九州北部豪雨で、吉弘さんの故郷である杷木松末地区は甚大な被害を受け、兄夫婦を亡くしました。
二度と災害による犠牲者を出さないため、何ができるのかと考えた吉弘さんはことし8月、耳納山地の災害に詳しい九州大学の助教を訪ねました。指摘されたのは、住民一人一人が防災について考えることの重要性です。
■九州大学大学院 工学研究院・西山浩司 助教
「集落単位でやっていく、みんなで勉強会をしていくというのはいいんじゃないかなと。」
■吉弘さん
「今回の災害を受けて、先生の知見をいただきながら、地元の山のことを考えましょうねと。」
吉弘さんは西山助教のアドバイスを受け、試行錯誤を重ねます。
その結果、たどり着いたのが、住民を集めたシンポジウムです。最も重視したのは、今回の災害で感じたことや身を守るために必要なことについて、住民同士で話し合う場を設けることでした。
■話し合いの様子
「最初は周りの状況すら分からなかったので、対応が難しかった。」
「話を聞くだけでは通り過ぎてしまうので、映像が残っている分をきちんと整理して、みんなで見て、どういうふうに心構えと備えないといけないかとかを(考える)。」
これまでなかなか話すことができなかった思いが飛び交い、付箋につづられました。
これこそ、吉弘さんが今回のシンポジウムで目指していたものでした。
■吉弘さん
「良かったです、やって良かった。地元から湧き出るものがない限り、型にはめようとしても、そこにエネルギーがないことには広がらないと思うんですよね。」
“安心して住み続けられるまち”を目指して、住民たちの模索は続きます。