去年、福岡県内で発生したニセ電話詐欺による被害額は13億3000万円でした。前の年に比べて、4割以上増えています。

インターネットバンキングやSNSを使った手口が急増していて、警察や金融機関が注意を呼びかけています。

26日、警察から感謝状を贈られたのは、佐賀市の木下幸保さんです。詐欺被害の防止に貢献しました。

きっかけは、去年12月23日、木下さんの勤める家電量販店を60代の男性が訪れ、電子ギフト券を買いたいと話したことでした。

■中村安里フィールドキャスター
「Q.そのときの様子は？」
■ヤマダデンキ上峰店・木下幸保さん
「ちょっと違和感があった。『何に使われますか』と聞いたら、お孫さん3人に10万円ずつ渡したいと。」

木下さんは、誰かと電話で話しながら店を訪れた男性の姿を不審に思い、事情を聞きました。すると、説明が二転三転したといいます。

■中村キャスター
「Q.電話の相手は2人のやりとりを聞いていた？」
■木下さん
「ずっと聞いていて、『お店の人がこういうふうに言っているので、こういうふうに言ってください』と指示をしていたんじゃないか。うまくお客様を誘導して、なんとか買わせようとしていた。」

詐欺を疑った木下さんは警察に通報し、被害を未然に防ぐことができました。

■木下さん
「しっかりとお話を聴いて、詐欺を未然に防げたというのは良かった。」

全国で被害が絶えないニセ電話詐欺による福岡県での被害額は、去年、13億円を超えました。

被害の拡大を受け、警察は取締りを強化することを強調しました。

■福岡県警 岩下剛 本部長
「本部・警察署の垣根を越えたオール福岡で取り組むとともに、事件を主導する中枢容疑者や犯行ツールを提供する悪質な業者の取締りなどを強化していく。」

早速、北九州市では、福岡県警で初めてとなる試みが本格的に始まりました。

「サポートポリス」と呼ばれるもので、警察官が繰り返しコンビニに立ち寄ることで監視の目を強め、ニセ電話詐欺だけではなく強盗や万引きなどの犯罪を未然に防ぐことが目的です。

26日はニセ電話詐欺を防止する訓練が行われました。

被害者役の客が電子マネーカードを購入させられそうになっているという想定で、店員が対応にあたりました。

■門司警察署 生活安全課 山邊裕 課長
「警察官が（コンビニに）立ち入ることによって、犯罪者にとって入りにくい環境を作っていきたい。」

警戒を強めているのは警察だけではありません。

■元木寛人フィールドキャスター
「こちら福岡銀行のATMですが、中に入ると『ストップ ニセ電話詐欺！電話で“お金”はすぐ相談！』と大きく表示されています。」

金融機関が注意を呼びかけるのは、インターネットバンキングを使った手口です。

■ふくおかフィナンシャルグループ 金融犯罪対策グループ・井口昌彦さん
「インターネットバンキングは、犯人側が乗っ取って送金しやすいところがある。例えばATMだとキャッシュカードを奪い取らないといけないが、インターネットバンキングだと ID・パスワードがあれば犯人に乗っ取られるので、なりすまして入れるのでそちらの方に移行している。」

犯行グループは警察や銀行の名前を語り、「あなたの口座が詐欺に使われてる。捜査に協力してください」など不安をあおるなどし、IDやパスワードを聞き出すといいます。

■井口さん
「警察・銀行員がキャッシュカードの暗証番号やインターネットバンキングの暗証番号を尋ねることは絶対にありません。決して暗証番号を第三者に伝えないようにお願いします。」

被害の絶えないニセ電話詐欺ですが、今、急増しているのが、ウソの投資話を持ちかけて現金をだまし取る「金融商品詐欺」です。

福岡県警によりますと、その件数は、おととしまでの過去4年は1件から3件だったものが、去年は19件に急増していて、ことしはすでに7件も発生しています。

去年の被害額は3億3000万円あまりで、前の年に比べて50倍近く増えています。

この「金融商品詐欺」の中で特に気をつけてほしいのが、SNSで投資を持ちかける手口です。

その主な手口ですが、まずインターネット上で投資に関する広告にアクセスした人たちをSNSのグループに勧誘します。

その後、利益が出ているように見せかけて、投資や手数料の名目で現金をだまし取るというものです。

実在の著名人の名前を語ることもあり、須恵町の50代の女性が、福岡出身の実業家・堀江貴文さんが指南していると誤認されるような手口で2900万円あまりをだまし取られました。

警察は「SNSでの『絶対もうかる』という話は詐欺。投資をする場合は証券会社など正規の業者と取り引きしてほしい」と呼びかけています。