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【2024年問題】人手不足が進む懸念に対策は 農地→物流の大規模拠点 トラックを使わない輸送も 福岡

2024年1月15日 17:45
【2024年問題】人手不足が進む懸念に対策は 農地→物流の大規模拠点 トラックを使わない輸送も 福岡
大規模な物流拠点づくり・トラックを使わない輸送も

続いては、物流業界で懸念されている「2024年問題」についてです。ことし4月からいよいよトラックドライバーの労働時間の上限規制が始まります。これまで通り荷物が運べなくなるおそれがあり、県内の企業や自治体では対策に乗り出しています。

■ドライバー
「おはようございます。」

12月末、福岡県宇美町に本社を置く運送会社、みやまコーポレーションの西福岡営業所では、年末の繁忙期とあって、早朝から仕事が始まっていました。

■ドライバー
「物量も多いですし、お休みに入って人も多いので、気をつけないと危ないですね。本社に戻ってまた違う仕事に。」

この日は午前中、会社と配送先を3往復するといいます。

トラックは、国内の貨物のおよそ9割を運んでいるといいます。この物流の“大動脈”に迫っているのが、いわゆる「2024年問題」です。

ことし4月から、労働基準法の改正により、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されます。月平均に換算すると、20時間ずつ削減されることになります。ドライバーの長時間労働を軽減するための措置です。

一方で、専門家は時間外労働の規制で、労働力不足の深刻化が起こりうると指摘します。

■立教大学・首藤若菜教授
「残業代が減ってしまって、賃金が減少してしまって、賃金の下落によって離職者が増えてしまって、人手不足が深刻化してもっと運べなくなるということが懸念されている。」

人手不足に対応しようと、みやまコーポーレーションでは積極的に女性を採用してきました。軽貨物車での運送から始められることもあり、今ではドライバーのおよそ20%が女性です。

■ドライバー
「子どものこと、小さい時はこどものことを優遇してくれたりとか、女性としては働きやすい会社です。」

さらに労働時間を短縮に向け、欠かせないのが荷主の理解です。

■みやまコーポレーション・降旗美香社長
「荷主に協力いただいて、ある一定の時間が来たら(いっぱいに)載せてない状況でも出発したりとか、対応を変えてくれているところもある。 双方の歩み寄りで問題は解決していく。」

それぞれの企業が労働力不足を補う努力を続けていますが、すぐに解決するのは難しく、国は4月以降、今よりおよそ4億トンの輸送能力が不足すると試算しています。

特に、九州と首都圏の間での物流は長距離である分、より深刻です。

■首藤教授
「福岡から東京まで、もう一人で1日で運べないという話は聞きますので、福岡で運べなかったら、そこから南は随分運べないことになる。中継輸送とか、共同配送ですとか、いろんな取り組みをしていかないと。」

国は2024年問題をきっかけに、より効率的な物流のあり方を構築しようとしています。そこに手を挙げたのが福岡県の北九州市です。

■宮原真記者
「高速道路の小倉東ICのすぐそばで、大規模な造成工事が進められています。」

北九州市では、もともとは農地だったおよそ27ヘクタールの土地で造成工事が進められるなど、市内各地で大型の物流拠点を整備する動きが活発化しています。

小倉北区の中央卸売市場にある北九州青果も、その1つです。去年9月に、3つの温度帯の冷蔵機能を備えた大型倉庫を完成させました。

■北九州青果・阿部 徹 開発部長
「関東から荷物が来るにしても、九州から来るにしても、必ず北九州を通るということで、地の利をこめて、ここに物流拠点を建てた。」

北九州市を中継地点として一度、積み荷を集めることで、トラックが満載に近づき、より効率的に配送できるという狙いです。

また稼働するトラックも減るため、ドライバーも減らすことができます。

■北九州青果・阿部 徹 開発部長
「積載効率を上げていき、物流効率アップを図っていく。九州各地の産地の荷物をここに集約することで、安定的に関東関西に荷物を供給していくことを願っています。」

さらに、北九州市の物流拠点化を後押しするのが「トラックを使わない」輸送です。

■宮原記者
「いま北九州と首都圏を結ぶフェリーが到着しました。ものすごい大きさです。」

2021年に就航した東京九州フェリーは、北九州と横須賀を直接結びます。

フェリーが岸壁に到着すると、トラックが次々と乗り込み、船から戻ってきたトラックはコンテナ部分がありません。

これはフェリーでコンテナ部分だけを運ぶ輸送方法で、フェリーで運んでいる間はトラックドライバーは必要なく、労働力の削減につながります。

東京九州フェリーによりますと、2021年に就航以来、輸送量は倍増しているということです。

北九州市は、2024年問題への対応による「新たな物流」の仕組みを、市の“新たな産業”に育てようとしています。

■北九州市物流拠点推進室・池田 弘幸 次長
「ピンチをチャンスに考えております。国内のフェリーがあることと、北九州空港、鉄道の3つが今までの陸路に変わるものとしてそろっているのが、強みではないかと考えています。北九州にとっての新しい運び方ですし、新しい産業になることを考えていきたい。」

物流の2024年問題は4月に迫っています。労働力不足に対応するための模索が続いています。

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