【トランポリン汚職】「ぜひ跳んで」県議在任中に予算は増加 業者から2800万円の受け取りを書面で約束 商取引を装った可能性も
福岡県の健康事業をめぐりワイロを受け取った疑いで逮捕された元県議の男が、業者との間で、2800万円を受け取ると約束し書面にしていたことが捜査関係者への取材で分かりました。企業同士の商取引を装う工作をしていた疑いがあるということです。
■児玉悠一朗記者
「元県議の片岡容疑者が折尾警察署から出てきました。フードをかぶっていて表情をうかがえません。あ、フードが飛んだ。」
収賄の疑いで逮捕された元福岡県議会議員の片岡誠二容疑者(58)は、18日午後、身柄を検察に送られました。
片岡容疑者は県議時代の2022年、「ケア・トランポリン」を使った健康事業をめぐり予算成立に便宜を図った見返りに、業者から現金2800万円のワイロを受け取ったとされています。
■東まどか記者
「こちらがケア・トランポリンです。手すりにこのようにつかまって、歩いたり跳んだりする誰もが使える設計です。」
捜査関係者によりますと、片岡容疑者はワイロを渡した疑いで逮捕されたケア・トランポリンを扱う業者の鬼木義美容疑者と、予算成立後に2800万円を受け取るとの約束を交わし書面に残していました。
この中で、2800万円は片岡容疑者が関係する企業と鬼木容疑者の会社との取引でやりとりされたと受け取れる内容で、警察は金の受け渡しについて商取引を装う工作をした可能性もあるとみて調べています。
ケア・トランポリン事業をめぐっては、2019年度に開始以降、片岡容疑者の在任中に右肩上がりに予算が増加しました。2023年度までの5年間で県が支出した補助金は3億8500万円余りに上ります。
2023年4月の選挙で片岡容疑者が敗れた後、予算は4割ほど減っています。
18日、取材に応じた服部知事は。
■服部知事
「私としては今年度の事業から、 この事業を市町村で主体的にやっていっていただくことができるように事業形式から見直して、3年間で終了させるということを事業見直しの中でやってきたところです。」
事業は見直しが行われていました。そもそも、県は市町村がケア・トランポリンの教室を開催することに対し、全額補助を出していました。
■福岡県 高齢者地域包括ケア推進課・鈴木茂男課長
「一つの教室で50回やった場合、マックスで133万円(の補助)という形になっています。」
この補助金は県から市町村に支払われたあと、ほぼ全額がケア・トランポリン協会に渡されていました。協会とケア・トランポリンを扱う鬼木容疑者の会社は同じ建物に入っていて、鬼木容疑者は独占的に協会にトランポリンをリースするなどして金を得ていたとみられています。
ケア・トランポリン事業の予算の増額は、協会や業者の売り上げに直結していたのです。
■片岡容疑者(2019年12月定例会の一般質問で)
「ぜひ、ケアトランポリンを跳んでいただきながら、お越しいただければというふうに思っておりますけれども、いかがでございましょうか。」
片岡容疑者は議会の一般質問でも、ケア・トランポリンを積極的にPRしていました。
ほかにもワイロとして受け取った金がないかなど、警察は慎重に捜査を進めています。