高級腕時計シェアリングサービス、トケマッチを巡って、全国各地で預けた時計が返却されない被害が相次いでいます。福岡県内の男性が初めてその被害の実態について明かし、大切な腕時計を返してほしいと訴えました。

■男性
「8本貸し出していて、合計450万円ほどの評価額。その450万円分の被害といいますか、戻ってきていないという状況。」

福岡県内の30代の男性は、ロレックスなど合わせて8本の高級腕時計450万円相当を預けたまま、一部が戻ってきていないと訴えています。

男性が腕時計を預けたのが、高級腕時計シェアリングサービス、トケマッチです。

■CM
「トケマッチなら、きっちり査定、しっかり補償。あなたも時計も借りる方も、みんながお得。」

トケマッチとは、持ち主から預かった高級腕時計を希望者に有料で貸し出し、持ち主には貸し出されたかどうかに関わらず「預託料」が毎月支払われるというサービスです。

福岡県の男性は2年前にインターネットの広告をきっかけにトケマッチを知り、利用し始めました。

1年間で20％の高利回りをうたっていたことから、最初は怪しさを感じていたといいます。

■男性
「ネットで、貸し出しされているブログの記事だったり、SNSで実際に貸して振り込まれているという実績を見たので、まず大丈夫なのかなといったん、数本貸し出しをしました。シェアリングエコノミー協会という公認団体に入って認定を受けていたこと、東京のテレビ局にCMを流していたことが私自身の安心感につながって。」

男性は8本の高級腕時計を預け、去年12月までの1年間、多い月では10万円の預託料を受け取っていました。しかし、ことしになって異変が起こったのです。

■男性
「1月31日に時計（1本）が突然戻ってきて、解散すると通知を受けた。インターネット上のSNSで、時計が質屋さんで販売されているという情報が流れ始めて、自分が預けていたはずの時計が販売されている、売却済みになっているという情報がたくさん出てきましたので、私も不安になって警察署の方に相談しました。」

ことし1月、トケマッチは突然、サービスの終了と会社の解散を発表しました。

男性はトケマッチの解散後、運営会社に対して戻ってきていない残り7本の腕時計の返却を求める催促書を送りましたが、そのまま返ってきたことから、警察に詐欺容疑で被害届を出しました。

警視庁は、トケマッチ運営会社の元代表・小湊こと福原敬済容疑者に対して、業務上横領の疑いで逮捕状を取り指名手配しました。

捜査関係者によりますと、トケマッチのサービス終了を発表する直前のことし1月に、少なくとも1億5000万円相当の腕時計が売却されたとみられます。

男性が預託料を受け取っていた口座には、3月に入って突然、トケマッチから30万円の振り込みがありました。そこには、戻ってきていない1本の腕時計の個体番号が記されていました。

男性は現物を返却せずに、何の説明もなく振り込むやり方に憤りを感じています。

■男性
「指名手配されているので、早く逮捕して真実が知りたいのが一番です。半ば諦め気味ではいますが、戻ってきてない時計も戻ってきてほしいと思っています。」

男性は、コレクションにしていた大切な腕時計をほとんど奪われる形となりました。

トケマッチを巡っては、福岡を含めて33都道府県で173件の被害届が出されていますが、容疑者が海外に逃亡しているとみられることから、警視庁が国際手配の手続きを進めています。