【核のごみ最終処分場】町長はGW明けにも最終判断へ 文献調査の請願を特別委で採択「共存共栄」「どこか場所を決めないと」佐賀・玄海町
佐賀県の玄海町議会は25日、特別委員会を開き、いわゆる“核のごみ”の最終処分場の選定に向けた調査への応募を求める請願を、賛成多数で採択しました。地元の住民からは賛否の声が上がっています。
■元木寛人フィールドキャスター
「玄海町役場です。現在、こちらの会議室の中で特別委員会が行われています。どういった結論が出るのでしょうか。」
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のごみ”の最終処分場をめぐり、玄海町議会には、選定の第1段階にあたる「文献調査」を受け入れるよう求める請願が地元の旅館組合など3つの団体から出されていました。
請願書では、玄海原発1号機と2号機が廃炉になったことや、新型コロナの影響で作業員や観光客が減っているとして、最終処分場は「新たな産業振興策における『選択肢の一つ』」だとしています。
文献調査が決まれば、国から最大20億円が交付されます。
25日、この請願書を採択するかについて、特別委員会で意見が交わされました。
■宮﨑吉輝議員
「文献調査に手を上げるということは、最終処分場を玄海町に受けいれる覚悟があって手を上げるべきだと思うがどう考えているのか。」
■松本栄一議員
「旅館組合から請願が上がっているのは、文献調査について受けるべきではないのかという問題提起であって、私はその先の最終処分場について議論するべきではないと思っています。」
委員会の開始からおよそ2時間後。
■採決
「賛成の皆さんは挙手をお願いします。賛成多数と認めます。」
賛成6人、反対3人の賛成多数で請願は採択されました
特別委員会は町議会議員の全員で構成されていることから、請願は26日に開かれる本会議でも採択される見通しです。
■上田利治議長
「ずっと原子力発電所とは共存共栄、お互いに協力しながら国の原子力政策に協力してきたものと自負しています。文献調査に応募することによって、他の立地自治体の起爆剤になればいいなと思っています。」
■前川和民議員
「よそからは20億円を目当てとして手を挙げているのではと当然見られるので、玄海町の子どもたちがそういうふうなことに対する批判があるというのを懸念している。」
一方、原発に反対する2つの市民グループは25日午後、文献調査を受け入れないよう町長と町議会に要望しました。
■玄海原発反対!からつ事務所・北川浩一さん
「拙速の一言に尽きる。国が議論をして最終処分場の安全性を確認した上でどうですかというなら、わかる。地域に押しつけることはありえない。」
地元の住民は、委員会の判断をどのように受け止めているのでしょうか。
■町民
「反対です。確かに玄海町は原発で潤っているところがあるんでしょうけれど、そればかりで賛成していいものか。」
「仕方ないっちゃ仕方ない。どこか場所を決めないとだめでしょうから。私も知り合いに原発関係の仕事をしている人もいるので、そういう人たちのことを思ったら簡単に反対反対とも言えないし。心配ではありますが。」
応募の最終判断を委ねられる脇山伸太郎町長は、次のように話しました。
■脇山伸太郎町長
「町民から請願が出て議会で採択されたわけですので、そこは大変重く受けとめています。」
このように述べるにとどめ、みずからの考えは明らかにしませんでした。脇山町長はゴールデンウイーク明けにも、文献調査に応募するか判断を示すとしています。
脇山町長が応募を決めた場合、文献調査はいつ始まるのでしょうか。
すでに文献調査が行われている北海道・寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)のケースです。2020年10月9日に寿都町は町長が応募し、神恵内村は国からの申し入れを村長が受け入れています。それからおよそ1か月後の11月17日に調査が始まっています。
北海道のケースがそのまま当てはまるかは分かりませんが、玄海町が5月に応募した場合、早ければ6月中に文献調査が始まる可能性もあります。