ノーベル平和賞受賞決定から1か月 授賞式にのぞむ被爆者や若者の思い
ことしのノーベル平和賞に日本被団協が選ばれてから1か月が経ちました。
授賞式に出席するため、治療に臨む被爆者。そして、受け継ぐ若者。それぞれの思いを取材しました。
慌ただしい1か月が続いた日本被団協の代表委員、箕牧智之さん。ノーベル賞の授賞式を前に医師の診察を受けました。
■箕牧智之さん
「健康を害しているが、前後あわせて1週間になるが(授賞式に)行きたい」
■ノーベル委員会 発表(ノルウェー10月11日)
「2024年のノーベル平和賞は日本被団協」
■箕牧智之さん
「え!」「日本被団協?」「うわ~電話せんといけん」
70年近く核兵器の廃絶を訴え続けた日本被団協。歓喜の瞬間でした。
箕牧さんは11月、ノルウェー・オスロで開かれる授賞式に出席するほか、現地で被爆証言をする予定です。しかし、体の不調を感じていました。
■医師
「これはいわゆる心不全。こういう風に水が溜まってきとる」
医師によると、ストレスや緊張などが原因ではないかということです。
82歳。入院を決意しました。
■箕牧智之さん
「私としてでは、何としてでも行って、賞をもらうだけでなく 原爆の話、被爆証言をして世界へ、世界のみなさんに核兵器をなくすよう訴えたいというのが私の思い」
■医師
「それが自分の使命だと」
■箕牧智之さん
「そう、私の使命」
現地で、自らの言葉で伝えるため治療に専念します。
授賞式には、代表団31人で出席の予定です。
被爆80年を前にした受賞決定の背景とは。
■広島大学 平和センター 川野徳幸 センター長
「被爆者のこれまでの諸活動を改めて再評価する。”核のタブー”に焦点をあてて、核なき世界を私たちは目指すべきなのではないかという強いメッセージ性を発したいという思い」
受賞決定をともに喜んだ高校生平和大使。その一人が甲斐なつきさんです。
11月、授賞式と同じ時期に現地に行き、研修や若者との交流を予定しています。
■甲斐なつきさん
「みなさんの平和への思いをここ広島から世界へ届けませんか」
甲斐さんは毎月、県内の高校生らと核兵器廃絶を願う署名活動をしています。
■甲斐なつきさん
「核兵器廃絶の活動であったり平和への活動が認められたという事実が私たちのモチベーションを上げてくれたりとかここで止まっていたらいけないなという風に感じさせてくれるきっかけになった」
一方で、専門家は受賞後の状況について懸念を抱きます。
■広島大学 平和センター 川野徳幸 センター長
「12月10日ノーベル平和賞の 授賞式でスピーチがあって、数日間、盛り上がりをみせるかもしれない。その後と考えると、もしかしたら、それが継続しないかもしれない。いかに継続させていくのか、なぜノーベル平和賞を受賞したのかということを考える場をできるだけ多くつくって多くの人たちと共有してもらうことが重要」
語り継ぐ若者と、力を奮い立たせ、授賞式に臨む被爆者。それぞれの使命をもちノルウェー・オスロに11月出発します。
(2024年11月11日 放送)