ライブハウス「楽座」 20年の歴史に幕 音楽環境に変化も… 広島
広島市の中心部で地元ミュージシャンらに愛されてきたライブハウスが今月、閉店しました。
最終日には記念のライブが開かれ、別れを惜しむ人たちの歌声が響きました。
音楽を愛する人たちが集まり、熱気と笑顔にあふれるライブハウス。
ミュージシャンでもある石澤良一さんがオーナーを務め、20年間、営業を続けてきました。
★出演者(男性)
「これから何を頼りに生きていこうか」
★出演者(女性)
「この場所は大きな家族みたいな存在だったりするので」
広島市の中心部。ライブハウス「楽座」はこの日、最後の営業を迎えました。
★石澤さん
「きょうはできるだけ感傷的にならないように、楽しく終わりたいという気持ちですね」
会場は、観客が50人入れば満員に。20年間で様々なアーティストがステージに立ってきました。
★石澤さん
「竹原ピストルとか、沢田聖子さんとかというプロの人もいますし、いわゆるストリートの方で歌っている地元のアマチュアの若い子たちが集まってやるライブで、いろいろですね」
大きな影響を受けた「コロナ禍」も、ステージと客席をアクリル板で仕切るなど感染対策をして、なんとか乗り切りました。
石澤さんが閉店を決断したのは、1年前ほど前。
★石澤さん
「一番直接的な理由は体調を崩してしまった。ライブハウスの仕事が重労働ですから、それができなくなったのが一番の大きな理由ですね」
最後の営業日。28組のミュージシャンが出演しました。
長年親しんできたステージともお別れです。
★出演者
「(石澤さんは)僕にとって兄貴です。本当に…」
★出演者
「ちょっと…(涙)」
石澤さんは出演者たちの姿をじっと見つめていました。
中山泰造さんは、東日本大震災のチャリティーライブを2か月に1回、続けてきました。
★中山泰造さん
「なんて言っていいのかわかりませんが、ありがとうございました。最高の20年間でした。我々、楽座難民ですのでどっかにライブハウスをさまよい求めて歩いていきたいと思います。どうもありがとうございました」
広島市内で姿を消すライブハウスは、「楽座」だけではありません。
広島市西区にある「クロスロード」5月で閉店することになっています。
★クロスロードのオーナー 吉田さん(77)
「(若い)バンドがいない。ラインニングコストを稼ぎ出せないんですよ。(バンドの)練習がメインなんですよ。集まった連中がオヤジライブっていうんで、毎月ずっとやってたんですけどそれもままならない。オヤジじゃなくてみんなじじいになっています」
今、急増するネット配信。対応するには、新しい設備が必要ですが…
★オーナー
「音楽シーンが全く変わったでしょ。結局僕たちが受け入れられなかった。 いまさら借金してまでそんなところまでいけないよね。心残りは80歳までやりたかった。悲しいけどしゃあない。今度は後輩に託す」
ライブハウス「楽座」の最終日には出演者や観客およそ150人が訪れ、別れを惜しみました。
会場に入れない人たちは、ドアの向こうからの聞こえる音楽に耳を澄ましました。
そして、大トリを務めたのは、オーナーの石澤さん。
会場をひとつにまとめ、最後のステージを締めくくりました。
★石澤さん歌
「20年間ありがとう」
★石澤さん
「終わりました。疲れましたけどいいライブ、みなさん見せていただいて本当に感激しております」
★みんな
「楽座、LOVE」
【2024年3月27日放送】