水俣病再懇談終わる 3日目は「離島加算」などを協議 環境相は拡充を検討
伊藤環境相は11日、鹿児島県長島町の獅子島と天草市の御所浦島に船で渡りました。獅子島では、水俣病被害者獅子島の会の滝下秀喜会長が、離島加算の拡充を要望しました。
離島加算とは、2009年の水俣病特措法の対象となった被害者のうち、離島で暮らしている人が月に1回以上、島の外の医療機関などに通院した場合、月額1000円支給されるものです。
滝下会長は「物価高の中、月に数回、船とタクシーで島の外に通院するにはとても足りない」と訴えました。
■水俣病被害者獅子島の会 滝下秀喜会長
「船で来られて離島の漁業を見られて、大臣も感じることがあったのではないか。要望に対しても真摯に回答をされていたのではないかと思います」
離島加算は、天草市御所浦島の懇談でも主要なテーマとなり、被害者側は月額1万円に増額するよう求めました。伊藤環境相は離島加算の拡充を検討したいとして、実務者レベルで引き続き、協議することになりました。
■伊藤環境相
「水俣病の患者・被害者の皆さんがこれほど苦しまれて経済的にも困窮されている中で、それを打開する方向に向かうべく私も頑張っているし、(同席した)前田光哉環境保健部長にも強く指示している」
3日間にわたった再懇談は終わりましたが、被害者側が強く求めている認定基準の見直しについて、環境省は否定的な見解を示したほか、手当などの拡充も今後の検討課題とするなど、議論は終始、かみ合いませんでした。一方で、水俣病問題の多くの課題を議論する場ができたことについて、被害者側からも評価する声が上がりました。
■伊藤環境相(懇談後のインタビュー)
「皆さまの求められてるものが非常に多岐にわたること、また地域によって差があること、また年代や状況によって違うこともよく理解することができました。力を合わせて、この水俣病の解決の方向に前進したいと考えております」
伊藤環境相は、再懇談のために省内に設けたタスクフォースを存続させ、今後の継続的な協議を担うとしました。