熊本市電 脱線の原因は「レールと車輪の摩耗」基準値内だが要因が重なったと説明
この事故は7月26日、健軍町方面に向かって田崎橋電停を出発した市電が、50メートルほど先の進行方向を切り替える場所で脱線したものです。
熊本市交通局は28日、会見を開き、調査の結果、脱線した場所のレールと事故車両の車輪がそれぞれ摩耗していたことを明らかにしました。その上で、摩耗はいずれも基準値内だったものの、2つの要因が重なったことで事故が発生したとしました。
また、事故の際、運転士が異音を感じて停車し、自らの判断で車両をバックしたことについて、市交通局は、内部規定では車両を動かさずに、すぐに交通局に報告することになっており、対応は不適切だったとしています。
また、28日午後5時頃には、終点の熊本駅前で車両のモーターを制御する機器が故障し、約13分間、車両が立ち往生しました。
熊本市交通局によりますと、機器の故障に伴うダイヤの乱れは昨年度11件だったのに対し、今年度は今回のケースを含め8件に上っていて、老朽化が原因のものが多いということです。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
熊本市電では今年入り、“安全に関わるトラブル”が10件と相次いでいます。内訳を見ますと、重大事故が1件、重大インシデントが2件などです。どれも深刻ではありますが、このうち、今回の脱線事故を熊本市交通局は最も重い「重大事故」にあたるとしました。
(畑中香保里キャスター)
再発防止策は何か示されているんですか?
(緒方キャスター)
熊本市交通局は、今回脱線したような分岐路のポイントでは、これまで時速15キロ以内で走行するとしていましたが(事故車両は13キロで走行)、事故を受けて5メートル手前で一時停止し、時速5キロ以内に減速するよう規定を見直しました。これらの分岐路のポイントは14か所ありますが、熊本市交通局は、ダイヤを見直すほどの大きな影響は出ないとみています。
また、今回原因となった「摩耗」については、これまでレールは年に1回測定、車両の車輪は半年に1回行っていましたが、今後、車輪は3か月に1回と期間の短縮を検討するということです。