【余波】コンブが記録的不漁 あの名産品にも影響が
富山の食卓に欠かせないコンブが記録的な不漁に見舞われています。
その影響は、コンブを扱う県内の関係者にも広がっています。穴田記者の取材です。
ご飯に、おでんに、昆布締めに。富山の食卓に欠かせないこのコンブに今、異変が起きています。
「どうぞ。こちらは棹前昆布と言ってですね、煮て食べる昆布ですね」
「例年でしたらここスペース空いていますけど、ここ昆布でびっしりいっぱいになるくらいで例年から見るとかなり少ない方ですね。半分も入ってきていない」
黒部市のコンブ専門店「四十物昆布」です。
長くコンブ商品を扱ってきましたが、去年はコンブ業界にとって異例の年だったと話します。
■四十物社長
「コンブ業界にとっても今まで経験が無いくらいのコンブ不足」「棹前昆布だけで言うと前年比で80数パーセント減。10数パーセントしかとれなかった」
コンブの生産量の減少に歯止めがかかりません。
国内生産量のおよそ9割を占める北海道の漁業協同組合連合会によりますと、2024年度産は前の年からおよそ3割減り統計が残る1962年度以降、過去最低となる見通しです。
コンブは生まれてから2年目が収穫対象となりますが、北海道漁連の担当者は1年目の海水温が高く、根腐れを起こし十分に育たなかったうえに、流氷による被害や漁期の悪天候などが響いたとみています。
四十物昆布では前の年のものを問屋などから買い足したり、取引先へ別の等級のものを提案したりして対応していますが、価格への影響は避けられないといいます。
高いものでは仕入れ値が5割以上、上がっているため、業務向けの商品を順次値上げしていて、一般向けについても今年春の値上げを検討しています。
■四十物社長
「原料として上がった分は上げさせてもらわないと、商売として成り立たない 我慢できるところはして原料価格も下がるというか、落ち着いてくるようなまとまった生産量があるといい」
影響は、昆布を使った加工品に広がっています。
■河内肇社長
「これは今、マコンブを昆布巻きの機械に流せるように つないでるところですね」
魚津市のかまぼこ専門店「河内屋」です。
定番商品のひとつ、昆布巻きかまぼこには幅広の函館産マコンブを使っています。
しかし、このマコンブの仕入れが年々難しくなっているといいます。
■河内社長
「色々な影響があると思いますけどただ、昔のようにいつでもほしい時に昆布が手に入るっていう時代じゃないですから、だんだん厳しくなってきていますね昆布を取り巻く環境が」
マコンブは、ほかの昆布が手に入りにくい影響で需要が高まり、仕入れ値はおととしから去年にかけておよそ1割上がるなど上昇を続けているといいます。
■河内社長
「かまぼこも昆布以外のすり身・魚、原料のほうが(価格が)上がってきていますから少しまた値上げせざるを得ないなと思っています」
河内屋はおととし、昆布巻きかまぼこについて一割前後値上げしましたが、今年のお中元の前をめどに再度値上げを検討しています。
■河内社長
「富山県民のソウルフードというか昔ながらの地場産品ですので、値段が上がっていくっていうのは忍びないですけれども、その分しっかりした品質のものを作っていきたいなと思っています」
北前船が育んだ富山の昆布文化。
県民の食卓への影響はしばらく続きそうです。