×

【気象予報士解説】線状降水帯予測とは 富山県で2023年に発生 備えは

2024年6月21日 19:50
【気象予報士解説】線状降水帯予測とは 富山県で2023年に発生 備えは

上野キャスター
21日は近畿、東海、関東甲信地方で梅雨入りし、北陸地方も間近となってきました。
すでに梅雨入りしている鹿児島県では、21日朝早く線状降水帯が発生しました。
そこで、改めてこの「線状降水帯の予測」についてお伝えします。気象予報士の数家解説委員です。

数家解説委員
鹿児島で発生した線状降水帯は、気象庁が20日から発生を予測していました。
予測の精度が高くなったとして、5月から線状降水帯の県単位での半日前の予測を開始しましたが、今回、初めて的中しました。
線状降水帯による大雨=災害発生の危険度が高いとした認識は浸透しつつあります。
線状降水帯は、①暖かく湿った空気が②地形や前線の影響などで上昇し、③積乱雲が発生します。④その後、上空の風に流されて線状に列をなすように次々に積乱雲が発生し、同じ場所で雨が降り続くものです。
県内でも、2023年7月12日午後10時過ぎから13日の未明にかけて線状降水帯が観測されました。
県内で観測されたのは「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されるようになった2021年以降初めてでした。
この時の3時間降水量は各地で100ミリを超えるなど観測史上最大となり、浸水被害が相次ぎました。
中でも県が管理する砺波市の和田川ダムが緊急放流を行ったため、下流で甚大な被害が発生しました。
気象庁はこうした被害を招く線状降水帯の発生について、5月から半日程度前からの予測を始めました。
大雨に関する県単位の気象情報などで「線状降水帯」というキーワードを使って危険を呼びかけています。
ただし、この呼びかけだけで避難行動を取るのではなく、他の情報と合わせて活用することが大切です。
①地元市町村が発表する避難情報や②大雨警報、③気象庁が発表する「キキクル」などの防災情報です。
このうち「キキクル」を、富山地方気象台の画面からタップしていくと、浸水、土砂、洪水の3つの災害の危険度を、地図上に5段階で色分けして示しています。
21日は鹿児島県で、避難を呼びかける、赤や紫の表示がありました。
赤は、用心して!高齢者や障害のある人は早めに避難。
紫は、危ない!急いで安全な場所に全員避難。黒は、命の危険!逃げ遅れた人は今すぐ2階以上へ避難です。
黒を待つと逃げ遅れになるので、紫までに安全な場所への避難を心がけましょう。

上野キャスター
県内でも週末から週明けにかけて大雨が降るという気象情報が出ていますね。

数家解説委員
23日日曜は、前線を伴った低気圧の影響で1時間に30ミリ以上の激しい雨が降り、警報級の大雨となる所がある見込みです。
22日土曜の夕方から23日までの24時間降水量は多い所で150ミリ。その後の24時間降水量は80ミリが予想されていて、土砂災害への警戒が必要です。
現在、能登半島地震で震度5強を観測した地域では、地盤が緩んでいる恐れがあるため、土砂災害警戒情報の発表について雨量などの基準を通常から2割引き下げて運用しています。
対象となっているのは、富山市の平野部、高岡市、氷見市、射水市、小矢部市、南砺市です。これらの地域ではこれまでよりも早いタイミングで発表されます。
土砂災害警戒情報は警戒レベル4に相当し、全員避難を意味します。
少ない雨でも土砂災害が発生するおそれがりますので、特に警戒してください。

    一緒に見られているニュース
    北日本放送のニュース