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“湯けむり”戻る温泉地「前を向くしかない」 再開へ歩み進める旅館の思い 七尾市・和倉温泉

2024年2月5日 21:05
“湯けむり”戻る温泉地「前を向くしかない」 再開へ歩み進める旅館の思い 七尾市・和倉温泉

地震の影響で七尾市の和倉温泉では、全ての旅館が営業できていません。ただ、災害復旧業者に限って宿泊を受け入れるなど、再開へ向けて歩み始めた旅館もあります。1か月の動きを追いました。

和倉温泉「はまづる」高城一博専務
「この辺はまだ全然手つかずの状態。地震があったまま」

1月31日。七尾市にある和倉温泉の旅館「はまづる」では、5階の部屋が地震発生当時のまま。鉄骨はむき出しになっていました。

和倉温泉「はまづる」高城一博専務
「今でもね、たまにフラッシュバックというか。揺れたら思い出すというかね。怖いところはあるんですけど」

開湯1200年の歴史を持つ県内有数の温泉地・和倉温泉。元日、大きな揺れが襲いました。

美湾荘・白髭哲企画販売部長
「まずお客様の誘導を最優先にして、揺れた直後から館内放送かけて、正面に広い駐車場があるものですから、そちらにともかく誘導しました」

当時、和倉温泉全体で2000人以上の宿泊客がいましたが、幸い大きなけが人などは出ませんでした。しかし、建物への被害や断水の影響もあり、2月5日現在、22ある全ての旅館で、観光客を受け入れられていません。

年末年始に満室だった旅館「はまづる」では…。

和倉温泉「はまづる」高城勉社長
「ガラスが1枚割れていますね」

風呂場の窓ガラスは割れ、温泉も出なくなりました。また、建物にはひびが入るなど大きな被害を受けました。

和倉温泉「はまづる」高城勉社長
「新たにいくつか部屋を作っても、返済のめどが立たない」
「行くも地獄、戻るも地獄。(再開しても)果たして採算ベースに乗せられるか…」

こうした中、明るい兆しも。

NNN取材団・山本和也記者
「温泉街に2週間ぶりに“湯けむり”が戻ってきました」

源泉をくみ上げる設備の補修が進み、地震後、止まっていたお湯が湧き出ました。和倉温泉旅館協同組合では、源泉を各旅館に届ける配管の復旧を進める方針です。

はまづるも動き出しています。まだ温泉や水は止まったままでしたが…。

■和倉温泉「はまづる」高城一博専務
「とても歩ける状態じゃなかったのが、今は普通に歩けるように一応なっています。これも仮復旧なので風が入ると寒い。こういう状態で復旧していっています」

比較的被害が少なかった部屋では、災害復旧に携わる人などを受け入れています。断水が続いているため、トイレを流す水は毎朝、湧き水をくんできて対応していますが、宿泊する人がいることで前向きに頑張れると話します。

■和倉温泉「はまづる」高城一博専務
「取引している業者さんにも頑張っていただきたいし、私たちも頑張る。みんなつながっているんですよね。そのつながりをとにかく切らないようにしたいですね」

■和倉温泉「はまづる」高城勉社長
「前向くより仕方ないし、前向かないと。このままポシャるわけにもいきませんし」

本格的な復旧に向けての全容は見通せませんが、それでも前を向き続けています。

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