【気象解説】"迷走"台風10号 今後の進路は? 知っておくと役立つ「予想進路図」の見方
小野
「皆さん、感じていると思いますが、今回の台風は、進むスピードがとても遅いのが特徴です。けさ8時に鹿児島県に上陸し、午後6時には、九州の西側をゆっくりと北へ進んでいるとみられます。このあと四国・近畿地方を通り、県内には2日月曜日あたりに最も近づく見込みです。ただ、今回の台風は、気象庁の予想進路図が更新されるたびに、予報円の位置が大きく変わっていますので、常に最新の情報にご注意ください。」
市川
「具体的にはどのような情報を注意してみればいいんでしょうか」
小野
「まず、この進路図の横にある文字情報に注意してください。980ヘクトパスカルという数字が、台風の中心の気圧です。この数字が小さいほど発達した台風だということです。」
「けさ鹿児島県に上陸した時点では、955ヘクトパスカルで、鹿児島県でも数年に1度の低さ…という気圧でした。いまは、それよりも高いですが、移動の速度が遅いので油断はできません。」
「強さの表現は、一番下に出ている数字・最大風速によって、「強い」とか「非常に強い」など変わってきます。現在は、最大風速がメートルです。」
「「強さの表現」の表です。いまは30メートルですので、一番下の「表現しない」ランクになっています。ちなみに、けさ早い時間までは、上から2番目の「非常に強い」でしたが、午前中に「強い」になり、いまは「表現しない」になりました。風速30メートルというと、時速100キロで走っている車と同じくらいの風です。」
「そして、台風の進む速度。こちらは「ゆっくり」となっています。」
「「ゆっくり」は、時速にすると9キロ以下。自転車ぐらいのスピードです。このスピードも、台風の中心が陸の上か海の上か…によっても変わりますし、上空の偏西風に乗った場合は一気に速度があがることもあります。」
「この台風の進む速度によって県内に最も近づくタイミングも大きく変わってきますので、この部分も、マメに確認していただくと良いでしょう。これらの様々な要素を考慮して気象庁が発表しているのがこの台風の進路予想、予報円です。」
「予報円はこの円の範囲の中に台風の中心がくる確率が70%でしょう…という予想ですから、円が小さいほど精度が高いということです。逆にいうと、大きければ大きいほど予想が定まっていない…ということです。この、2日9時の円を見てみると、一番東よりを通ったら太平洋、西よりを通ったら能登半島沖…と、かなり範囲が大きくなっています。」
「この台風の進路図は気象庁のホームページで台風が日本に上陸しているときは最新の位置は1時間おきに、予報円は6時間おきに更新されますから、台風が近づく前に、できる範囲での備えをいていただければと思います。」