【特集】人間と動物が会話できる日は来るのか?東北大学の最新研究 小鳥は「さえずり」を使い分けている?
ジュウシマツという小鳥の「さえずり」。
東北大学の研究で〝意図的に鳴き方を変えている〟ということが分かってきた。
人間と動物が会話できる日は来るのか?
動物とのコミュニケーション最前線をお伝えする。
こちらは宮城県多賀城市内のペット専門店。
青木秀尚 アナウンサー
「飼っているペットの要求をくみ取れるというボタンがこちらなんです」「ごはん♪」×2
愛犬がボタンを押すことで、まるで〝おしゃべり〟をしているような感覚になれる。
SNS上にはこのボタンを使う犬の動画がたくさん!
ペットワールドアミーゴ 多賀城店 犬猫用品担当 佐々木麻衣さん
「ここ2年くらいで入ってきてちょっとずつ売れ始めている。例えばお水、お散歩、ごはんみたいな感じで単語を登録(録音)してワンちゃんがそれを欲しい時に押してもらう」
モネちゃん
「こうえん♪」「ひまぁー♪」
「公園」のボタンを押されれば、公園に連れて行ってあげる。
「ヒマ」と押されれば、一緒に遊んであげる。
それぞれのボタンに沿った対応を繰り返してあげることで、まるで会話をしているようなコミュニケーションをとる、というこの方法。
3才になったミニチュア・シュナウザーのモネちゃんは、なんと85種類ものボタンを使い分けているんだとか。
モネちゃんの飼い主
「犬がこれを話したいだろうなということを想像して私が音声を吹き込んでいます欲しいもの、行きたい場所、感情とか」
モネちゃん
「うれしい♪」「おにわ」
モネちゃんの飼い主
「家でおしっこはできるんですけど、大きい方は外でしかできない子。どうしても外に行きたいでも行けないという葛藤の中で、ボタンを押して要求として押してくれました」
このボタンはアメリカ発祥で、海外の大学ではこの仕組みを活用して人とイヌのコミュニケーションの研究が進められているそう。
モネちゃんの飼い主
「言いたいことを自由にいつもボタンで教えてもらってるんですけど、対応してあげることによってペットとの関係性も良くなりますし家の中全体が平和になる感じがします」
そもそも、動物はどのようにコミュニケーションを取っているのか。
その研究は東北大学でも進められている。
生命科学研究科の安部健太郎教授。
安部教授が調べているのは、ジュウシマツという小鳥の「さえずり」だ。
東北大学 安部健太郎教授
「多くの人は小鳥のさえずりはいつも決まりきったパターンの音声を繰り返しているだけで特に意味はないと考えている人が多いと思いますが、我々そこが本当なのかをテクノロジーを使って明らかにするような研究を最近はやりました」
私たちの五十音「あいうえお」のように、小鳥のさえずりは音の高さや長さなどから20種類ほどに区別できると言う。(個体差あり)
安部教授の研究チームはこの20種類を瞬時に識別するAI技術を開発。
「さえずり」をa,b,cのようなアルファベットに分類をしている。
そして、ある実験を行った。
それは、小鳥がさえずりの中でここでは「C」という音を一定の回数以上繰り返した時に、実験ケージ内のモニターに仲間の映像を流す、つまり〝ご褒美〟をあげる、というもの。
ジュウシマツにこのパターンを学習させると、1、2週間後、さえずりの中に「C」の繰り返しが増えた。
東北大学 安部健太郎教授
「仲間を見たいがために発声をするようになることがわかりました」
東北大学 安部健太郎教授
「彼らは非常に社会性が高い動物。普段は常に仲間と一緒に暮らしている1人きりの状態になるとコミュニケーション取りたい欲求が高いんだと思いますけど、積極的に画面の中の仲間に語りかける様子が観察できました」
「仲間に会いたい」という目的を叶えるため、さえずりの内容を変化させたと考えられるジュウシマツ。
安部教授は今後、小鳥同士の〝おしゃべり〟も解明できないか、模索している。
東北大学 安部健太郎教授
「普段小鳥がどういう風にさえずりを活用してお互いにコミュニケーションを図っているのかに関してはまだ何もわかっていない状況にあるので、小鳥のさえずりだとか会話内容の意味を解読するというのが現在進めている1つのプロジェクト」