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人手不足や2024年問題に直面「建設業界の今」DX推進や女性活躍で改革 “魅力ある環境に”《長崎》

2024年6月27日 6:45
人手不足や2024年問題に直面「建設業界の今」DX推進や女性活躍で改革 “魅力ある環境に”《長崎》

人出不足が深刻な建設業界。

4月から時間外労働の規制が強化され、それぞれの現場で「改革」が進められています。

▼採用から1年経たず辞めていく若者たち

(朝礼)
「おはようございます。路肩での作業になるので、転落等が無いよう注意したい。作業人員は2名」

朝礼で、作業の注意事項を確認します。

河川の洪水対策が行われている工事現場。

川幅を広げ新たな堤防をつくる作業が進められています。

工事に携わる諫早市の大起建設。

創業50年を超える会社で土木工事や道路の舗装などを手掛けています。

従業員は、10代から60代までの45人。しかし人手不足は深刻だといいます。

おととし、去年と1人ずつ、新卒で土木工事の技術者を採用しましたが、いずれも1年に満たず辞めました。

(大起建設 原口 忠幸常務)
「新しい人材がなかなか確保できない状況がここ10年くらい続いている。採用できたとしても辞めていく若者も多いなかなか若手の確保ができていない状況が続いている」

▼工期の遅れなどが生じる可能性あり

きつい・汚い・危険の「3K」の職場といわれてきた建設業界。

県内では1995年に3万6000人以上が就業していましたが、2022年は、約2万9000人と2割以上減少。(3万6639人→2万8866人)

また、昨年度の新規求人数に占める充足率は9.4%と、すべての産業の中で最も低くなっています。

働く環境の改善に向け、建設業では今年4月から時間外労働の上限規制が厳しくなりました。

原則、月45時間以内。年間では360時間以内です。

人手不足に加え、時間外労働の規制。

県建設業協会は今後、工期の遅れなどが生じる可能性があると危惧します。

(県建設業協会 根〆 眞悟会長)
「公共工事は不調・不落(入札参加なし・落札業者なしの)工事が起きて、民間でいえば、“待ってください。半年待ってください。1年待ってください” という話が出てくる。残業規制の問題とかがあるが、施主の思い通りの建物ができない感じになる」

▼「デジタル化」「外国人労働者受け入れ」で変わる現場

大起建設では、人手不足に対応しようと、デジタル化で業務の見直しを進めています。

入社14年目、現場で監督も務める川原 啓徳さん 43歳。

これまで、直接出向いて行っていた発注者とのやり取りは、ほとんどがオンラインに変わりました。

(大起建設 川原 啓徳さん)
「流しコンクリートで施工しやすいようにコンクリートをしたくて、承諾願いますというのを上げている」

また 工事の進捗状況も写真を撮り、インターネットで共有。関わる人たちがリアルタイムで把握できるようになりました。

外国人も多く受け入れていて、技能実習生などを含め、現在8人が在籍。

去年夏に仲間に加わったミャンマー出身のウェイ ピョーさんは、土木作業などに携わります。

(技能実習生 ウェイ ピョーさん(24))
「10万円くらい毎月(実家に送る)。家族は今、ミャンマーで仕事がないけどピョーが送っているから大丈夫」

午後5時。

(現場スタッフ)
「作業終了です」

この日も残業なく 終了。1時間の昼休みも取り、労働時間は8時間でした。

労働環境は変わりつつありますが、ピョーさんは。

(技能実習生 ウェイ ピョーさん(24))
「残業したい。残業すればお金増えるから。ミャンマーの免許から切り替えて、(今後は)運転できるようになりたい」

一方、川原さんは。

(大起建設 川原 啓徳さん)
「仕事完了。息子の迎えと娘と迎えに行くので帰る。家庭での時間も取れるようになったので、だいぶ変わったかな。建設業界も」

(大起建設 原口 忠幸常務)
「建設業のイメージを上げていかないと若い人は来ない。橋を造っている。トンネルを造っている。それによって社会に貢献している。

もう少しきれいなイメージを、業界としても(アピールして)いかないといけないと思う」

▼女性にとって魅力的な職場に

女性の採用に力を入れ始めた会社も。

27人が働く長崎市の武藤建設では、5人の女性が「建設ディレクター」として活躍しています。

(入社4年目 中山 瑠菜さん(24))
「(入社当時は)建設ディレクターの仕事が無くて、なかなか業務を振ってくれる人がいなかったが、現場の進捗状況をドローンで撮影したりしている」

専用の休憩室もつくりました。

(入社4年目 中山 瑠菜さん(24))
「昼休みにソファで寝転んだり、休む場所です、女性が。業務中も体調がすぐれない時にここで寝ていた」

今年度から休日の日数を増やし、基本給や手当てを見直すなど賃上も行いました。

(武藤建設 武藤 剛社長)
「給料もそれ(休日の増加)によって、マイナスにならないように増やすくらいで、4月から改定した。とにかく働きやすい環境を作る」

ただ、環境整備に伴い、今後は短い工期の仕事は受けられなくなることもあると考えているそうです。

(武藤建設 武藤 剛社長)
「仕事を捕りにいかないのはつらい立場であるけど、それをみんなで努力して環境を良くしていくしか方法はないと思う」

(県建設業協会 根〆 眞悟会長)
「大きい会社、地場でも中堅小規模、一緒になって進んでいかないといけない。みんなが一緒に進んでいくことが大事で、成功事例を出していけば(ほかの企業も)ドンとそこに乗っていく」

建設業界が 働きやすく、魅力ある環境となるように。

それぞれの現場で「改革」が進められています。

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