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“声なき証言” で伝える長崎原爆「被爆者なき時代」に向け 若者が考える新たな継承のカタチ《長崎》

2024年8月1日 15:15
“声なき証言” で伝える長崎原爆「被爆者なき時代」に向け 若者が考える新たな継承のカタチ《長崎》

長崎市で開かれている原爆写真展の取り組みです。

被爆体験のない中学生や高校生がガイドに。

新たな「継承のカタチ」です。

▼被爆の実相 伝えるガイドに「今がどれだけ幸せなのかに 気付いてほしくて」

先月22日。

長崎市の追悼平和祈念館で原爆写真展が始まりました。

(近藤 寛菜さん)
「見たことある?」

写真の解説をする学生服姿の2人。

純心中学校2年の美貴 優里さん13歳と、近藤 寛菜さん14歳です。

(近藤 寛菜さん)
「原爆を実際に体験していないからこそ、一番何で実際にあったことを伝えていけるか」

(美貴 優里さん)
「あまり重く感じられないように。今の幸せ、今がどれだけ幸せなのかに気付いてほしくて」

原爆について紹介する写真展で、初めてボランティアガイドを担当。

被爆の実相を未来に繋ぐため、若い世代の新たな取り組みです。

▼被爆者なき時代 見据え「写真の “読み方” を若い人たちに伝えたい」

(草野 優介さん)
「これは原爆写真なんですが、これを見て、ここで撮った写真だと分かる人はいますか?。写真がいつ撮られたか、どこで撮られたかを理解しながら正しく伝えていく」

ガイドには美貴さんや近藤さんを含め、小中学生や高校生47人が応募し、事前研修が開かれました。

企画したのは、長崎市の草野 優介さん36歳。

被爆後の長崎の写真を収集し、検証する長崎平和推進協会 写真資料調査部会のメンバーです。

調査部会は、去年亡くなった被爆者の深堀 好敏さんらが1979年に結成した「長崎の被爆写真調査会」の活動が原点です。

10年ほど前から参加する草野さんは、被爆3世で写真館を経営しています。

伝えたいのは「写真の力」です。

(草野 優介さん)
「写真を深堀さんたちが集めだしたのも、自分たちの体験を言葉で語っても伝えきれないという危機感から。当時を語る人がいなくなる『被爆者なき時代』が迫ってくる。写真の “読み方” をもっと若い人たちに伝えていきたい」

(写真資料調査部会 松田 斉 部会長)
「ココウォークが立っている場所は、被爆当時は三菱の工場があった所」

写真をよく見ると被爆直後のどの場所なのか、どんな被害を受けたのかなどが読み取れることを伝えました。

▼原爆のこと「文章や言葉で聞くことが多くて どうしてもリアルに親近感が持てなかった」

美貴さんは、被爆4世。

曾祖母の平田孝子さん85歳は被爆者ですが、これまで平和活動に積極的に関わることはなかったといいます。

(美貴 優里さん)
「私自身、小学生の時は写真を見て胃がムカムカしてきて、保健室に逃げていたから。今まで原爆という(ものから)逃げてきた」

しかし今回はガイドに関心を持ち、研修に参加しました。

そして、感じたことが。

(美貴 優里さん)
「文章や言葉で聞くことが多くて、どうしてもリアルに親近感が持てなかった。今回写真として見たり、よりリアルに感じられたり。
もっと関心を持つべきだったと、今までの自分に後悔した」

研修の後、原爆資料館を見学した美貴さんと近藤さん。

(近藤 寛菜さん)
「普段壊れないものが異常な感じで、見たことのない感じになっていて怖くなってくる」

(美貴 優里さん)
「さっきの弁当箱(の持ち主)も生きようとしていたのに、ああなっちゃうって…」

自分たちと同じ若い世代が共感できる伝え方とは。

展示を見て、ヒントを得たようです。

(近藤 寛菜さん)
「自分たちが、これから伝えてガイドをしていくという目で見たら、詳しく自分が話せるように場面だけで見るのではなく、内容などを詳しくところまでしっかり見るところが変わった」

▼「いろいろな年齢層や外国人もいるから、それぞれに合った写真展ができたらいい」

迎えた写真展初日。

(美貴 優里さん)
「すごく緊張しているが予習もしてきたので、上手にわかりやすく伝えられるように工夫できたら」

約40人の小学生にガイドします。

(近藤 寛菜さん)
「原爆でケガをした人たちの食糧にするために、たくさんのおにぎりが運ばれてきたところの写真。たくさんおにぎりがあるけれど、これを食べられない人もたくさんいたの」

(美貴 優里さん)
「8月10日の写真でしょ。(長崎に)原爆落ちたのっていつか知っている?
8月9日。1日たっている。血が乾いているっていうことは、洗うひまがなかった」

写真を食い入るように見つめる子どもたち。

最初は緊張していた2人も、寄り添うように語りかけることができました。

(小学6年生)
「戦争は怖いなって思った。わかりやすかった」

(小学6年生)
「私たちもそういう話を聞いたので、次世代に繋げていきたい」

(近藤 寛菜さん)
「どうしても体験した人と同じように伝えることはできないし、ガイドすることは難しいが、子どもたちみたいに同じくらいの世代や私たちの若い世代だからこそ、伝えやすいことはあると感じた」

企画した草野さんも、より若い世代が仲間に加わり 手ごたえを感じています。

(草野 優介さん)
「継承活動は人と人が関わる。人があって成り立つことなので、もっと若い人たちが参加しやすい形で続けていきたい」

写真展は来月2日まで。

ガイドを経験した若者たちはこの後、自ら写真を選んで、8月25日から展示会を企画。

自分たちの視点で被爆の実相を伝えることになっています。

(美貴 優里さん)
「いろいろな年齢層や外国人もいるから、それぞれに合った写真展ができたらいい。すべての人が同じものを受け入れる必要はないと思うから、それぞれにあった写真展にしたい」

やがて訪れる「被爆者なき時代」。

その時にも被爆の実相を伝える方法は必ずあると信じ、新たな「継承のカタチ」へ。

若い世代の活動が始まっています。

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