「被爆」をどう継承? ナガサキの模索…被爆桜の植樹「平和への誓い」若い世代の発信も必要《長崎》
長崎に原爆が投下されてから今年8月で79年、被爆者なき時代が刻々と近づいています。
被爆の実相の継承と核兵器廃絶の願いを世界に発信し続けるために。
被爆地ナガサキで模索が続いています。
長崎市立桜馬場中学校。
1年生の代表の生徒らが校庭の近くで植樹を行いました。
植えたのは、ソメイヨシノ。
爆心地から500mの城山小学校で亡くなった林 嘉代子さんの母親が、平和の祈りを込め植えたことから「嘉代子桜」と呼ばれる桜の苗木です。
嘉代子桜の原木が植えられたのは75年前。
当初は50本ありましたが、今は6本に減りました。
その思いを絶やしてはいけないと、被爆者らでつくる団体が苗木を育て全国に広めています。
(森田 祥吾さん)
「苗木をこれから大切に育てていきます。平和に対する思いを紡いでいく」
(城山小学校原爆殉難者慰霊会 本田 魂 会長)
「世界平和を願って育ててもらいたい」
原爆が投下されてから、今年8月で丸79年。
被爆者の平均年齢は85歳を超え、被爆者なき時代がより一層、現実味を帯びてきています。
(工藤 武子さん)
「灰色の世界ではなく、命輝く青い地球を次の世代に残すために、これからも力の限り尽くしていくことを誓います」
毎年8月9日の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表。
2017年から公募制となっていますが、去年応募があったのはわずか7人で過去最少でした。
23日に行われた代表者を決めるための審査会では、委員から、将来的には若い世代から発信することも必要になってくるのではという意見が出されました。
(平和への誓い 代表者選定審査会 調 漸 会長)
「応募者が少し減っているように思うので、いろんな工夫を凝らしながら選考をスムーズにやっていきたい、増やしていきたい」
(被爆者 川野 浩一さん)
「新しい発想もあっていいのでは。高校生平和大使も含めて、若い人たちが主体的に活動を始めている。平和の誓いに少し重きを置いて、考えて発掘をしていかないと」
たった1発で、大きな悲劇を生み出す核兵器。
世界には1万2000発あまりがあり、ウクライナ、そしてパレスチナの戦争で使用が危惧されています。
核兵器の廃絶へ、被爆者らが期待を寄せるのが2021年に発効した「核兵器禁止条約」です。
22日、条約の発効から3年を迎え、被爆者や市民らおよそ120人が集会を開きました。
(県被爆者手帳友の会朝長 万左男)
「核抑止政策では将来的にダメだ。どうやって核抑止論を克服するか。今後の核廃絶運動の中心になっていくのではないか」
条約には70の国と地域が批准していますが、日本は核保有国の不参加などを理由に参加していません。
参加者らは「核兵器禁止条約を広める取り組みをさらに強めていく」とするアピールを採択しました。