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小学生が一糸乱れぬバチさばき「大草太鼓」伝統の太鼓演奏を継承 “地域の文化づくり”を《長崎》

2025年1月4日 7:00
小学生が一糸乱れぬバチさばき「大草太鼓」伝統の太鼓演奏を継承 “地域の文化づくり”を《長崎》

諫早市の小学校で代々受け継がれる「大草太鼓」を取材しました。

地域の誇りを守ろうと子どもたちが団結して取り組んでいます。

大人顔負けの一糸乱れぬ “バチさばき”。

息の合ったパフォーマンスを見せるのは、諫早市立大草小学校の児童です。

(2年生)
「リズムを取ったり大きな音を出したり、真剣にできるところが一番楽しい」

(3年生)
「感動させたい気持ちで叩いている」

(3年生)
「上手な大草太鼓を見せたい」

◆子どもたちが輝ける取り組みを地域の文化へ

全校児童合わせて27人の大草小学校。

授業は2つの学年を1つのクラスにまとめた「複式授業」を取り入れています。

児童たちは互いに話し合ったり相談をしながら、主体的に授業を進めていきます。

子どもたちの自主性を重んじる大草小学校が掲げるスローガンは…

(大草小学校 山口 隆 校長)
「一人ひとりが主人公というテーマを掲げている。子どもたちが、自分たちで考えて切り開いていけるような生きる力、たくましい力を身に着けてほしい」

子どもたちそれぞれが輝けるようにと、学校独自で取り組んでいるのが「大草太鼓」です。

始めたのは21年前。

2005年に旧諌早市と5つの町が合併するのを前に、“地区の伝統文化を作りたい” という願いからスタートしたそうです。

人口約700人の大草地区。

現在、人口減少や少子高齢化といった課題に直面しています。

そんな中、大草の魅力をPRし、若い人の移住やふるさとへのUターンを促したいと、さまざまなイベントで大草太鼓を披露しています。

(大草小学校 山口 隆 校長)
「全国に散らばっている大草出身の子たちが、ふるさとへの思いを強くしてくれるんじゃないかなと思っているので、そのような発信の基地に大草小学校がなればいい」

◆小さな学校だからこその「一体感」と「自主性」

息の合った演奏に必要な絆や一体感は、毎日の学校生活で育まれています。

給食の時間はランチルームに集まりみんなで一緒に。

(児童)
「楽しいです。皆と一緒に食べれるところ」

(児童)
「給食の時間を毎日待ってます。みんなで会話をしながら食べること。2時間目からお腹減ります」

(1年生担任松島 秀樹 教諭)
「給食もみんなで食べるし、 太鼓とかもみんなでするし、みんなで食べたり遊んだり、活動したりすることが多いので、自然と仲良くなってる感じがする」

掃除の時間も…。

(児童)
「今日は3年生のチームが廊下で、それ以外が教室です。掃除を始めてください」

学年の垣根を越え、いつも一緒です。

1週間後の学習発表会に向け、太鼓の練習が行われたこの日。

6年生の3人が下級生を引っ張ります。

(6年生)
「今日は最後の練習なので、頑張って叩いてください」

この学習発表会が6年生にとって、太鼓をたたく最後の舞台です。

練習中、気持ちが高まるあまり音がずれてしまう場面も…

(児童)
「大太鼓が入るタイミングを間違った。数えながらやんなきゃ」

地域の人や保護者への感謝の気持ちと成長した姿を見せたいと、何度も練習します。

その手には、努力のあとが。

(6年生)
「マメがつぶれました。構えとか、あと声もあと少し出した方がいい 」

(6年生)
「本番でみんなを感動させようと思って叩いてます」

(6年生)
「発表会で(大草太鼓が)一番最後だから、思い切りたたきたい」

◆太鼓の演奏が地域の「楽しみ」そして「絆」に…

迎えた学習発表会当日。

子どもたちの成長した姿を見届けようと、多くの人が訪れました。

(保護者)
「発表会や太鼓の演奏(があること)に、わくわくしている」

(保護者)
「すごく楽しみにしてきた。6年生が最後の太鼓の演奏。すっごい上手。いつも感動します」

楽器の演奏や劇、手作りの龍踊。

学年ごとに出し物を披露したあとは…。

おそろいの法被を身に着け、いよいよ大草太鼓の演奏です。

みんな気合は十分!緊張感に包まれ、真剣なまなざしに変わりました。

地域みんなが楽しみにしている大草小学校オリジナルの「大草太鼓」。

これまで励んできた練習の成果を披露です。

体育館に太鼓の音が響き渡ります。

観客の中には、大草小学校の卒業生の姿もありました。

(橋本 望央さん(20))
「懐かしい。人数が減ってるっていうのは聞いてたので、どうなってるかなって思っていた。ずっとやってくれていて、すごいうれしい」

27人の思いが一つとなった太鼓の響きは、観客の心を打ちました。

(保護者)
「今年は特に素晴らしかった。胸にじんとくるものがあった。年を取ったら、孫の元気が1番の生きがいです。今日はいっぱい褒めてあげたい」

(保護者)
「すごく感動した。これからもずっと続いてほしい」

(地域の人)
「毎年毎年、新しい人に受け継いでいってもらえたら、地域の太鼓になっていくんじゃないか」

最後の太鼓を終えた6年生。その表情は達成感と自信に満ち溢れていました。

(6年生)
「お母さんに自分は頑張ってるんだって自慢できてよかった。地域の人たちと一緒に太鼓をやりたい。学校の伝統だから守っていきたい」

(6年生)
「最後の晴れ舞台を見てきてくれてよかった。ずっと続いてほしい。みんなに大草太鼓のことをもっと知ってもらいたい」

(大草小学校 山口 隆 校長)
「“地域の中の大草太鼓” ということで今、目指している。今の6年生たちがまた叩ける機会というのをたくさん提供して、地域の “大草太鼓” になっていくことを願っている」

代々受け継がれ、「地域の太鼓」へと成長する大草太鼓。

伝統の輪はこれからも広がり続けます。


【NIB news every.  2024年11月27日放送より】

最終更新日:2025年1月5日 12:55
    長崎国際テレビのニュース