きっかけは鳥取砂丘の砂の性質が月面に似ていること!? 砂丘地でアスパラガスの栽培に挑戦 農業の新たな可能性と課題解決を目指して 鳥取県鳥取市
鳥取市でアスパラガスを栽培するあるプロジェクトが始まっています。その名も「月面アスパラガスプロジェクト」。育てられているのは、意外な場所でした。
訪れたのは鳥取市賀露にあるこちらの農園。
中山紗希 アナウンサー
「農園の一角で育てられているこちら、アスパラガス。植えられているのは土ではなく、 砂なんです」
実はこれ、砂地でアスパラガスを栽培する、その名も「月面アスパラガスプロジェクト」とよばれるもの。砂丘地が広がるこのエリアで4月から始まったものです。なぜ、砂丘地で「月面プロジェクト」なのでしょうか。
株式会社天地人 岡田和樹さん
「近い未来には月面に人が住んでいるということが想定されているNASAのアルテミス計画とかあると思いますが、それに向かって、月面でどういうビジネスをするのかというフェーズに差し掛かっているので、 月面ってちょっと面白いんじゃないかというところで、月面を考えたというのがきっかけになっています」
こう話すのは、東京で宇宙の衛星データを使い農業の課題解決などに取り組む、岡田和樹さんです。岡田さんが所属する会社はこれまで地表温度などの衛星データから米作りに最適な土地を探し、気候変動にも対応したオリジナルの米を生産。最先端の農業技術として今、注目されています。そんな中、月面での農業の可能性を見つけようと今回のプロジェクトが立ち上がったのです。でもどうして「砂地で」栽培しているのでしょうか。
株式会社天地人 岡田和樹さん
「鳥取県のほうから、鳥取砂丘の砂の性質が少し月面に似ているのではないかということで、砂の性質は我々も注目していたところではあるので、そこでぜひ一緒にやりましょうというのがありましたね」
鳥取県と共同で取り組んでいるこのプロジェクト。岡田さん自身が学生時代農学部で研究していたこともあり、数ある野菜の中からアスパラを選んだといいます。
株式会社天地人 岡田和樹さん
「この1か月でかなり成長して、 新しい茎がどんどん生えていってまして、今まで生えていたものよりも倍くらいの茎も生えて、かなり順調に生育しているんじゃないかと思います」
砂は水はけがよいことからカビや病気などの被害にも遭いづらく、生育環境としては適しているとのこと。順調に育てば、来年の春には収穫できるこのアスパラガス。岡田さんは、今回のプロジェクトで農業が抱える課題の解決にもつなげたいと考えています。
株式会社天地人 岡田和樹さん
「耕作放棄地問題とか、なかなか条件が悪いような土地でも農業をしていかないといけないんじゃないかという話もあるので、なかなか条件が悪いような土地でもおいしい野菜を育てるというところで、この知見が活用できたらと思っています」
農業の新たな可能性と課題解決を目指して。月面アスパラガスプロジェクトは始まったばかりです。