「御朱印」「鉄印」ならぬ『廃線印』とは? 全国の廃線を”つなぐ”その狙いは… 鳥取県倉吉市
『御朱印』『鉄印』ならぬ『廃線印』をご存じでしょうか。廃線の利活用の一環として始まった『廃線印』が3月から倉吉線でもスタートしました。全国の廃線をつなぐ、その狙いとはー。
かつて鳥取県倉吉市と旧関金町をつないでいた約20キロの旧国鉄倉吉線。利用者の減少で1985年に廃止されましたが、現在は廃線跡を散策できるよう整備し、観光スポットとして活用されています。
観光客
「インスタで見たのでどんなものかと思ってきました」
幻想的な竹林と廃線の組み合わせが「SNS映えする」と、若い世代にも人気が広がり、カメラを持った観光客が後を絶たないといいます。そんな旧国鉄倉吉線で3月1日から購入できるようになったのが『廃線印』。
■『廃線印』とは?
特定非営利活動法人養生の郷 金光敏弘さん
「3月1日からオープンなんですけど、それをめがけて朝から買い求めに来たお客さまもいました。出発としては結構良いスタートかなと思います」
新たにスタートした『廃線印』とはー。
レールマウンテンバイク事務局 田口由加子さん
「鉄印みたいなものが、私たちみたいな廃線の利活用業者にも売らせてもらえればうれしいなと思いました。鉄印帳に加えて楽しんでいただけるかなと思っております」
鉄道ファンが全国各地の鉄道をめぐって集める『鉄印』のように、廃線にも足を運んでほしいと始まったのが『廃線印』。全国で廃線跡を活用し、地域活性化に取組む団体で構成される日本ロストライン協議会が中心となって展開しています。一枚300円から500円程度の廃線印。そこには別の願いも込められていました。
レールマウンテンバイク事務局 田口由加子さん
「廃線の維持はすごくお金がかかるんですよ、何をするにしても。それぞれのところがそれぞれのアイデアでお客さまからお金をいただいて、線路を守っていらっしゃる。そういった活動のほんの少しのお小遣いを稼ぎたいなという思いでやってます」
鉄道としての収益がなくなった廃線を守るために、各自治体はレールバイクやウォーキングツアーなど様々な工夫でイベントを開催しています。その支えに少しでもなればと始まったのが『廃線印』でした。
現在は、北海道小樽市の『旧国鉄手宮線』や岐阜県飛騨市の『旧神岡鉄道』など全国4か所の廃線で行われていますが、新たに7か所での発売が予定されていて、さらなる拡大が期待されます。そんな中、3月から旧国鉄倉吉線でも販売が始まったことについてー。
レールマウンテンバイク事務局 田口由加子さん
「旧国鉄倉吉線は間違いなく日本一美しい廃線の風景だと思っています。そういった利活用業者さんに廃線印を売っていただけるということでものすごく心強いです」
■『廃線印』からにぎわいの創出へ
美しい風景で話題を呼ぶ旧国鉄倉吉線。そこに訪れた人から『廃線印』の存在が広まり、全国各地の廃線に足を運ぶ、そんなにぎわいの創出に期待が高まります。
特定非営利活動法人養生の郷 金光敏弘さん
「なんかやらないと廃線になって、雑草だらけになっているところがたくさんあります。見ていると鉄道ファンとして悲しいですし、地元の人も鉄道遺産を後世に残したいという気持ちはあると思うんですね。それを何とかつなげていきたい」
「廃線を守りたい」という決意の印でもある『廃線印』。そこに込められた思いはこれからも線路のようにつながって、人々を呼び込む輪になっていきそうです。