島根県唯一の百貨店の閉店から1年 約120人いた従業員のほとんどが解雇 一畑百貨店を支えていた人たちはいま… 島根県松江市
島根県唯一のデパート・一畑百貨店の閉店から2025年1月14日で1年。跡地の活用について先が見えない中、百貨店で働いていた人たちは新たなスタートを切っています。
2024年1月、多くの人に惜しまれながら65年の歴史に幕を下ろした一畑百貨店。約120人いた従業員のほとんどが解雇。島根県は全国で3番目の百貨店空白地となったのです。
あれから1年ー。
鳥取県米子市の百貨店である米子髙島屋のギフトサロンが去年6月、松江市のスーパー内にオープンしました。このギフトサロンは一畑百貨店の外商部などにいた9人を雇用。島根県内の百貨店需要を取り込むのが狙いです。
米子髙島屋 ギフトサロン松江 中村広 外商営業担当次長
「一畑で見たよねっていうお声を非常にいただいていて、一畑と変わらず対応させていただければっていう気持ちで対応しております」
松江に拠点が出来たことで、米子髙島屋はネット販売を除く贈答品の売り上げが今年度16%増加したといいます。
一方で課題もー。
米子髙島屋 ギフトサロン松江 中村広 外商営業担当次長
「米子への誘導なんですけども、残念ながらまだそこまで行ってないのかなと」
今年度10%程度の米子髙島屋への来客数増加を期待していましたが、ここまでは3.2%の増加に留まっています。そこで、一畑百貨店で人気のあった絨毯(じゅうたん)、そして器や皿といった食器など、店舗内の商品を増やしています。
米子髙島屋 ギフトサロン松江 中村広 外商営業担当次長
「少しでも百貨店で取り扱ってたものがあるねっていうようなところをですね、ぜひお伝えできればなというふうに思っております」
一方、一畑百貨店跡の隣にあるシャミネ松江。
古山史生さんはメンズアパレルブランド「タケオキクチ」の販売を代行していて、一畑百貨店の閉店を機にシャミネ松江に移転しました。
タケオキクチ販売代行 プルシアンブルー 古山史生 社長
「米子とかへの移転の話もあってちょっと考えてたんですけど、お客さまが近くにいるということで松江を、シャミネを選ばせていただきました」
これまでの常連客も引き続き店を訪れ、移転後も百貨店時代の売上はキープできているといいます。3年前まで一畑百貨店の従業員でもあった古山さん。気になるのは活用が決まっていない跡地です。
タケオキクチ販売代行 プルシアンブルー 古山史生 社長
「元々われわれが働いていた跡地なので、できれば楽しい商業施設になることを期待してますね」
解体費用が高額なこともあり、百貨店跡地の活用について進展はありません。また松江市や商工会議所などでつくる松江駅前デザイン会議は去年まとめるとしていた駅前再開発のデザイン案を来年度に延長すると発表しました。
Q.一畑百貨店の跡地活用は?
市民
「何になるんだろう?って期待しながらは見てるんですけど」
「わかりにくい、とにかくここはわかりにくいですね。全てが」
閉店から1年。一畑百貨店だった建物はあの日から姿を変えていません。
しかしー。
米子髙島屋ギフトサロン松江 中村広 外商営業担当次長
「島根県から百貨店がなくなったっていう現実がある中で、ここのギフトサロンに来てお会いしたいなと思っていただければ、うれしいなという気持ちです」
タケオキクチ販売代行 プルシアンブルー 古山史生 社長
「ここに来てもらったら百貨店でやってたことと全く同じことをやっている。一畑百貨店のスピリッツは受け継いでると思います」
百貨店を支えていた人たちは、誇りを胸に新たな一歩を踏み出しています。