シリーズ人口減少⑬人口減少問題の第一人者・河合雅司氏に聞く高知の“未来”【高知】
人口減少が急速に進む中で、高知の未来をさまざまな観点から考える人口減少シリーズ。
13回目の今回は、いま私たちが取り組むべきことについて、人口減少問題の第一人者で高知大学客員教授の河合雅司さんに聞きました。
100万部を超えたベストセラー「未来の年表」シリーズや、最新刊「縮んで勝つ」などで人口減少の課題と対策を世に投げかけた人口減少対策総合研究所の理事長で、高知大学客員教授を務める河合雅司さん。
人口減少問題における国内の第一人者として知られる専門家で、このほどオンラインで高知放送の取材に応じ、今の地方の課題や対策について語ってくれました。
Q:今の問題とは?
■高知大学客員教授・河合雅司さん
「日本の今の現実を見ていくと、出生数の減り方が政府の推計の6、7倍のペースで減っている。政府とか県庁が出しているいろんな人口推計よりも遥かに状況は早く動いていく。それだけ社会が早く縮んでいくということなので、2025年(今)の社会の持続はもう無理なんですね。縮んでいくことを前提として、それでもきちんと社会が回っていくことを考えなければいけない」
県内で生まれた赤ちゃんの数は、50年前・1975年には1万1773人でしたが徐々に減り、去年はわずか3130人でした。ここ4年間でみると約1000人も減っていて、このペースが続けば、県内のあらゆる社会的仕組みが崩れていきます。
全国の自治体では今、社会増減に着目し、地方から都市部に出ていく若者を食い止めようと対策に乗り出し、移住促進も進めています。しかし、河合さんは若い人の思いをこう代弁しました。
■河合雅司さん
「若い人ってのは、自分がどれだけ社会に通用するのかってことを試したいっていう気持ちで出ていく人たちが一定数いるんだと思う。そういう人たちに、ただ故郷が良いから帰ってこいって言っても、自分の夢が叶えられるのか、暮らしが本当に成り立つのか。自分の思ってることとの落差のようなものに、そこが埋まらない限りは帰ろうとか帰らないとかっていう判断すらしないんだと思う。だれも80年後の今の若者の人生保障してくれないじゃないですか。80年後の高知ってどうなんですか?て問われた時に誰も答えを出せない。80年後もそれなりに人口が集積していて、それなりに企業もあり、それなりにお店も多分立地してるであろう都会にいくのは、いわば自分の生存化を考えたらすごい賢い正しい選択をしてるという話になっちゃってる」
また河合さんは、若者が東京に集まることが問題だという認識は誤りで、都市部についてもこれから人口が減ると指摘しました。
■河合雅司さん
「東京も人口が減る局面がもうかなり近づいている。そして東京は高齢化していくということで、これまでの東京はもう続かない。東京も変わっていく。いわば日本全体の器の中の水に例えれば、日本全体の器の水が減っていってるのにこの水を各地域が奪い合うような発想って結局出口がない、解決策ではない。日本全体の人口が急減していく状況なので、減っても耐えうる社会をどう作っていくのか。人口が少なくなっても経済・企業が成長して、そして人口が減ってもちゃんと各地域の社会機能が維持されていく方策を考えるのが今やるべきことなんです」
各地域の社会機能を維持する対策として、河合さんは30万人程度の商圏規模の確保と人口の集約を強調しています。
■河合雅司さん
「いろんな生活機能のことを考えると商圏規模を確保していくというのが大事で、どの仕事も最低限の消費者数を下回ってしまうともう維持ができなくなってくるので、人口減少社会においては拡散するといろんなサービス事業が続かなくなるということを考えると、人口の集約ということを各地域考えていくという事が大事になってくると思います」
県内で路線の廃止が進み議論となっている公共交通については。
■河合雅司さん
「運転手不足で公共交通機関が縮小廃止になってるわけじゃない。乗客不足なんだ。運行会社は慈善活動ではなくて営利活動なので、公共交通機関を残したいんだったらまずは県民が積極的に乗るってことなんです。乗らなければなくなるのは当たり前。鉄道に限らず。顧客が減ってしまえばどの仕事もみんななくなってしまう。点と点を結ぶ公共交通機関になっていくということなんですよ。もう地域の中じゃなくてね、地域の中の足ではなくて人口集積地とどうやって結んでいくのかと」
最後に人口減少社会の中で、いま私たちが最も取り組むべきことについて聞きました。
■河合雅司さん
「人口が減っても夢が描ける場所として、いわば人口減少社会の勝ち筋をみせるという作業をむしろ高知はやるべきだ。これができない地区は残らない。国内マーケットはどんどん縮んでいくので、これまでのように内需で食べてきた企業というのは東京の企業も含めてやっていけない。なので外国に通用する企業、何を外国に売れるのかこれが明確になっている、またはそれを準備していく企業が1つでも2つでも高知にできてくると、まずひとつ展望が開ける」
インタビューを通して、何度も今の社会を維持することはできないとし、各分野で戦略的に縮むことを提唱した河合さん。この先も高知県で人が暮らし続けられるように、私たちは大きく発想を変える必要がありそうです。
13回目の今回は、いま私たちが取り組むべきことについて、人口減少問題の第一人者で高知大学客員教授の河合雅司さんに聞きました。
100万部を超えたベストセラー「未来の年表」シリーズや、最新刊「縮んで勝つ」などで人口減少の課題と対策を世に投げかけた人口減少対策総合研究所の理事長で、高知大学客員教授を務める河合雅司さん。
人口減少問題における国内の第一人者として知られる専門家で、このほどオンラインで高知放送の取材に応じ、今の地方の課題や対策について語ってくれました。
Q:今の問題とは?
■高知大学客員教授・河合雅司さん
「日本の今の現実を見ていくと、出生数の減り方が政府の推計の6、7倍のペースで減っている。政府とか県庁が出しているいろんな人口推計よりも遥かに状況は早く動いていく。それだけ社会が早く縮んでいくということなので、2025年(今)の社会の持続はもう無理なんですね。縮んでいくことを前提として、それでもきちんと社会が回っていくことを考えなければいけない」
県内で生まれた赤ちゃんの数は、50年前・1975年には1万1773人でしたが徐々に減り、去年はわずか3130人でした。ここ4年間でみると約1000人も減っていて、このペースが続けば、県内のあらゆる社会的仕組みが崩れていきます。
全国の自治体では今、社会増減に着目し、地方から都市部に出ていく若者を食い止めようと対策に乗り出し、移住促進も進めています。しかし、河合さんは若い人の思いをこう代弁しました。
■河合雅司さん
「若い人ってのは、自分がどれだけ社会に通用するのかってことを試したいっていう気持ちで出ていく人たちが一定数いるんだと思う。そういう人たちに、ただ故郷が良いから帰ってこいって言っても、自分の夢が叶えられるのか、暮らしが本当に成り立つのか。自分の思ってることとの落差のようなものに、そこが埋まらない限りは帰ろうとか帰らないとかっていう判断すらしないんだと思う。だれも80年後の今の若者の人生保障してくれないじゃないですか。80年後の高知ってどうなんですか?て問われた時に誰も答えを出せない。80年後もそれなりに人口が集積していて、それなりに企業もあり、それなりにお店も多分立地してるであろう都会にいくのは、いわば自分の生存化を考えたらすごい賢い正しい選択をしてるという話になっちゃってる」
また河合さんは、若者が東京に集まることが問題だという認識は誤りで、都市部についてもこれから人口が減ると指摘しました。
■河合雅司さん
「東京も人口が減る局面がもうかなり近づいている。そして東京は高齢化していくということで、これまでの東京はもう続かない。東京も変わっていく。いわば日本全体の器の中の水に例えれば、日本全体の器の水が減っていってるのにこの水を各地域が奪い合うような発想って結局出口がない、解決策ではない。日本全体の人口が急減していく状況なので、減っても耐えうる社会をどう作っていくのか。人口が少なくなっても経済・企業が成長して、そして人口が減ってもちゃんと各地域の社会機能が維持されていく方策を考えるのが今やるべきことなんです」
各地域の社会機能を維持する対策として、河合さんは30万人程度の商圏規模の確保と人口の集約を強調しています。
■河合雅司さん
「いろんな生活機能のことを考えると商圏規模を確保していくというのが大事で、どの仕事も最低限の消費者数を下回ってしまうともう維持ができなくなってくるので、人口減少社会においては拡散するといろんなサービス事業が続かなくなるということを考えると、人口の集約ということを各地域考えていくという事が大事になってくると思います」
県内で路線の廃止が進み議論となっている公共交通については。
■河合雅司さん
「運転手不足で公共交通機関が縮小廃止になってるわけじゃない。乗客不足なんだ。運行会社は慈善活動ではなくて営利活動なので、公共交通機関を残したいんだったらまずは県民が積極的に乗るってことなんです。乗らなければなくなるのは当たり前。鉄道に限らず。顧客が減ってしまえばどの仕事もみんななくなってしまう。点と点を結ぶ公共交通機関になっていくということなんですよ。もう地域の中じゃなくてね、地域の中の足ではなくて人口集積地とどうやって結んでいくのかと」
最後に人口減少社会の中で、いま私たちが最も取り組むべきことについて聞きました。
■河合雅司さん
「人口が減っても夢が描ける場所として、いわば人口減少社会の勝ち筋をみせるという作業をむしろ高知はやるべきだ。これができない地区は残らない。国内マーケットはどんどん縮んでいくので、これまでのように内需で食べてきた企業というのは東京の企業も含めてやっていけない。なので外国に通用する企業、何を外国に売れるのかこれが明確になっている、またはそれを準備していく企業が1つでも2つでも高知にできてくると、まずひとつ展望が開ける」
インタビューを通して、何度も今の社会を維持することはできないとし、各分野で戦略的に縮むことを提唱した河合さん。この先も高知県で人が暮らし続けられるように、私たちは大きく発想を変える必要がありそうです。
最終更新日:2025年1月30日 18:52