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水泳授業 児童の安全をいかにして守るか 学校現場の取り組み②『奈半利小学校の安全対策』【高知】

2024年7月17日 18:54
水泳授業 児童の安全をいかにして守るか 学校現場の取り組み②『奈半利小学校の安全対策』【高知】
7月5日、高知県の長浜小学校の男子児童が水泳の授業中に溺れて亡くなりました。児童の命を守るため学校現場ではどのような対策を取っているのか、シリーズでお伝えします。

今回紹介するのは、高知県東部・奈半利町内で唯一の小学校で102人が学ぶ奈半利小学校の取り組みです。

奈半利小では5日の事故が起こる前から、水泳授業の際にはさまざまな安全対策を取ってきました。校長は東京学芸大学教育学部で小学校保健体育科を専攻し、水泳授業にも詳しい宇賀孝篤(うかたかあつ)さんが務めています。

奈半利小学校 宇賀孝篤校長
「AEDと救急箱、トランシーバーは職員室とのやりとりに使う。あと時計を入れて1つのセットにして授業の時に持ってくるようにしている。それと備え付けで毛布と浮き輪を常に置いている」

こうした安全グッズはプールのスタートライン近くのベンチの上に置かれていて、すぐ使用できるようになっています。また、奈半利小では泳ぎが苦手な児童や身長の低い児童が安心できるよう、アルミベンチをプールの底に沈めています。

アルミベンチは軽く取り扱いやすいのが特徴で授業の都度、プールの端や中央部に入れるなど安全確保に使われていました。

宇賀校長
「できるだけ恐怖感を持たさずに授業を進めるようにしている。(アルミベンチは)以前は1台だったが数が足らないということで昨年、4台(奈半利町に)購入してもらった」

こうした準備をした上で水泳授業を行います。

17日朝は5年生が大プールで授業に臨みました。指導にあたるのは担任の先生、そして元教員だった支援員2人も児童を見守り、あわせて3人で児童を監視します。

さらに宇賀校長などが監視に入れるときはプールサイドから見守ります。

授業でも安全の工夫がされていました。

バディという2人1組のチームを作り、互いの動きを確認する役割を担うことで児童の安全をはかります。

また、平泳ぎの練習では浮き具を着用していました。この浮き具は足の動きを正しくするための補助具ですが、これがあれば安全に練習ができます。

こうしたさまざまな安全策を講じている奈半利小ですが、5日の死亡事故を受けて宇賀校長は教職員に対し改めて注意を呼びかけたといいます。

宇賀校長
「指導者の複数体制、これを確実に行うという事。それから子供たちの健康状態の把握、これもしっかりとやっていただくように先生方にはお願いしています」

水泳授業では危険が伴います。保健体育が専門の宇賀校長は最後に体育の授業の在り方についてこう語りました。

宇賀校長
「水泳に限らず跳び箱マット運動でもそうだが、体育の授業っていうのは非常に危険性を伴う部分もありますので、充分に先生方で危険性を把握して子供たちが安全に学習できるような準備物であったり学習の場の設定、これを心がけていかねばならない」

命を守る術を教える水泳授業、その授業で児童の命が失われることはあってはならないことです。あらゆる安全対策を講じて児童の命を守ることが学校現場には求められています。
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