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よさこい祭り 学生よさこい運営の絆【高知】

2024年8月16日 19:05
よさこい祭り 学生よさこい運営の絆【高知】
今年もよさこい祭りは盛り上がりを見せましたが、前夜祭の前に開かれた大学生だけの「土佐学生よさこい大会」も輝きを放ちました。
若者たちの笑顔、そして裏でそれを支えた学生たちの姿を追いました。

高知市の高知城内に設置された高知城演舞場で、第71回よさこい祭りの開幕を告げる前夜祭よりも早く、鳴子の音が響くのが「土佐学生よさこい大会」です。

大学生が運営するこの大会は、学生チームにスポットを当て、チームの交流を目的に2019年に始まりました。しかし、翌年からコロナ禍で2年続けて中止となり、去年は台風のため屋内での開催。
4回目の今年、久しぶりに11チーム・踊り子850人が演舞場で踊りを披露しました。

運営の中心を務める実行委員長の小川優太さんは兵庫県出身で、現在高知大学4年生。大学1年の時から運営に関わり、去年から実行委員長として大会を仕切っています。
大会前日、小川さんたちは北海道から手伝いにきた学生と打ち合わせをしていました。

実は6月のよさこいソーラン祭りには、高知から7人の学生スタッフがボランティアで参加するなど、高知と北海道で学生同士が互いの祭りの運営を支えています。

土佐学生よさこい大会実行委員長 小川優太さん
「本当にありがたい。実際に6月にYOSAKOIソーラン祭りを経験したメンバーが来てくれているので、運営する上で非常に助かっている。色んなことを話して互いの祭りのいいところ、改善すべきところをしっかりと共有し合うことが大切と思うので心掛けたい」

YOSAKOIソーラン祭りの運営に3年間関わり、300人以上の学生スタッフをまとめた、今年の学生実行委員会の代表・松山愛華さんです。

YOSAKOIソーラン祭り学生実行委員会代表 松山愛華さん
「(高知の)お祭り自体は私も初めてなので、経験値的なものは実行委員のみんなが上だとは思う。同じよさこいを担うものとしてお客さんに楽しんでもらえるような運営を一緒にできたらいいと思う」

大会当日、8月9日の朝。

小川優太さん
「観客や踊り子のみなさんに対して、避難経路をしっかり明示した上での開催が前提となると思う。指定の緊急避難場所を確認して、地震と津波を今から実行委員にその場所を伝えて避難経路を再確認する」

前日、南海トラフ地震の想定震源域である日向灘でM7.1の地震が発生し、気象庁が「巨大地震注意」の情報を出したため対応に追われていました。
実行委員全員が向かったのは、緊急避難場所となる高知市役所です。混雑を避けるために3つのルートを確認しました。

実行委員
「地震があって、できないかもしれないとなった時に、それでも1年間準備してきたものもあるし、踊り子の思いとか学生実行委員会としてもやりたい気持ちはあると思うし、それを実現させるための手段として万全の準備をするのはとても大切だと思う。そういう状況でもできるということにありがたみを感じて、やるのであれば安全は第一優先で」

土佐学生よさこい大会は、去年も演舞場所変更など自然災害の影響を受けました。
今年は地震の発生が懸念される中での開催です。

小川優太さん
「恵まれないなというのは正直思う。万全な状態で学生よさこいを私はできたことが無いので。常に何かしらのトラブルはあるなと思う。ただそのトラブルと共に大会を進めていくことは私の中では嫌いなことではない、むしろ考えることは楽しいと思う。しっかりと来場者のみなさんの安全を考えながらやっていく。それだけに尽きると思う」

そして、イベント開始直前によさこい開催の決定が。

小川優太さん
「よさこい祭振興会の総務部会で第71回よさこい祭りを通常開催する連絡が来ました。土佐学生よさこい大会も振興会と足並みをそろえるという判断をしているので、無事にオンタイムで開催できるというところで、とりあえず安堵はあるかなと思う」

「巨大地震注意」が発表中という異例の状況下で土佐学生よさこいの開催も決まりました。

運営側は熱中症対策も抜かりがありません。参加チームにスポーツドリンクを配り、大型のミスト機を使えるようにして待機中の踊り子や観客を気遣います。

午前11時。学生たちのよさこいが始まりました。
運営メンバーの役割はチームの誘導と観客への案内、そして舞台進行。代表の小川さんはメディア対応や全体確認を務め、とにかく会場を歩きまわってトラブルがないか、くまなく目を配ります。

土佐学生よさこい大会はコロナ禍で中止となった2年間で運営のノウハウが途絶えました。このため小川さんは運営を学ぶこと、仲間を作ることを目的に2022年にYOSAKOIソーラン祭りに学生ボランティアとして参加しました。
YOSAKOIソーラン祭りは、大人の力も借りながら、学生が中心となって運営していたからです。

小川優太さん
「観客にどういった形で演舞構成を組めば一番踊り子の魅力が伝わるのか、そういう所は学びました、踊り子同士全国で繋がることはあるが、祭りを作る側、裏方の実行委員同士が集まることはありませんでしたので、そういうつながりを作れたのは僕としてはうれしく思う」

この経験を活かしながら土佐学生よさこい大会を進行していきます。
また、北海道の運営スタッフも高知のよさこいを体験することで大きな刺激を受けているようでした。

松山愛華さん
「つながりは大事にしたいと思っている。YOSAKOIソーラン祭りは高知の祭りをもとに始まった祭りなので、リスペクトは忘れちゃいけないと思う。北海道と高知とで学生同士つながっていって、他のお祭りももっともっと元気にしていければいいなと思う。今年4回目でまだまだ新しい大会だと思う。これをきっかけにもっとよさこいをやっている学生にスポットが当たっていけば、もっともっとお祭りとして発展していくのではないかと思うし、そうあってほしい」

小川優太さん
「文化の違いを強く感じます。文化が違うからこその成り立ちだったり、運営方法も違う。そこは勉強になるし我々も提供できるものはあると思う。前年の大会とまったく同じことをするのではなく、常々新しい試みをやってみるだとか、工夫を加えてみるだとか、何か一つ新しい仕掛けであったり、要素を入れていけば土佐学生よさこい大会もこれから発展するのでは。後輩にそこはバトンタッチしたい」

よさこいを通じて交流し、互いのよさこいをさらに魅力的にしようと刺激し合う学生たち。若い世代のよさこいパワーが地域を越えて、 未来のよさこいにつながっていきます。

「よさこい最高!」
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