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災害から子どもたちの命を守る 防災教育を行う高知市の小学校の取り組み【高知】

2024年7月1日 19:02
災害から子どもたちの命を守る 防災教育を行う高知市の小学校の取り組み【高知】
能登半島地震から7月1日で半年となります。
1日の特集は、シリーズでお送りしている「南海トラフ地震に備える」です。
今回は、災害から子どもたちの命を守るために最善な方法を探り続ける高知市の小学校の取り組みです。

机の下に潜ってしっかりと頭を守り、揺れがおさまったら一斉に避難場所に駆け出す子どもたち。地震から命を守るための訓練の様子です。

高知市の三里小学校は最大で16メートルの津波が襲うと想定される高知市の海岸から約700メートルに位置していて、海が近い三里小学校はこれまでも防災への取り組みを積極的に行ってきました。

保護者や地域の人たちの防災意識も高く、毎年9月には保護者も一緒に避難訓練を行う防災参観日を実施したり、裏山の避難場所や避難場所に向かう道の草刈りなどを定期的に行っています。

地震や風水害に対しての訓練は、県の安全教育プログラムで年に5回実施することが求められていますが、三里小学校ではそれを上回る年に7回実施しています。

三里小学校の対策の強化はこれだけではありません。もともと学校では校舎の4階を避難場所として訓練を行ってきましたが、去年地震の専門家からアドバイスを受けたことがきっかけで、校舎の裏にある大平山に避難する訓練も加えました。

アドバイスをしたのは、高知大学防災推進センターの岡村眞客員教授です。
岡村教授は、これまでにも三里小学校の防災キャンプで通学路を一緒にチェックするなど地震への備えをアドバイスをしてきました。
今回も校舎が避難場所としての機能を果たせているものの、最悪のケースを想定した場合にさらに上に逃げられる選択肢があった方が命を守ることができると指摘したのです。

最悪のケースを想定して「より高いところ」に逃げられる場所へ。新たな避難場所は学校の裏にある大平山の“竹林”。標高約30メートルで、子どもたち全員が避難できる広さがあります。

小学校の校舎は雨風がしのげることと毛布や食料などを備蓄していることなどから、地震が発生する季節、天候、時間帯によって最適な避難場所の選択肢が複数あることが強みになります。

6月14日、今年度初めての避難訓練が行われました。

室戸岬沖で大規模な地震が発生し、その後大津波警報が発表されたという想定で、まずは机の下に潜ってしっかりと頭を守ります。
揺れがおさまると廊下に整列。静かに、そして慌てずに階段を降り、避難場所に向かうために校庭へ。
子どもたちは水筒を持って避難します。

竹林に向かう道は狭いものの比較的なだらかで、子どもたちは慌てずに足元に気を付けながら避難場所を目指します。国の想定では高知市の海岸には1メートルの津波が17分で到達します。今回の訓練では全ての児童が7分以内で集合を完了しました。

南海トラフ地震はいつ起こるかわかりません。実際に起こっていることに対して的確な判断ができるかどうかが生死を分けます。岡村教授は臨機応変に考えることが大切だと強調します。

来る大地震に備えどうすれば命を守ることができるのか。三里小学校では常に考えながら訓練の内容を進化させ、子どもたちも繰り返し学ぶことで防災への意識を高めています。
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