【県新野球場建設】需要調査結果について知事「公表すべきだった」…費用負担に言及も議論先行き不透明(静岡)
静岡県が浜松市に建設予定の新野球場を巡る需要調査の結果について、鈴木知事は「公表すべきだった」と述べました。一方、建設費を巡り浜松市との“費用負担のあり方”についても言及しました。
(鈴木知事)
「全国的にみても、こうした事業費が大幅に増額していくことが一般的になっているので、当然、想定していたことです」「まだ、上振れする可能性はある。ただ、一方で、それを抑えるための知恵を注入していくことも必要になってくる」
13日午後の会見で鈴木知事が言及したのは、新野球場に関する「需要調査の結果」です。
浜松市中央区の遠州灘海浜公園・篠原地区に建設が予定されている新しい県営野球場。県が、2024年3月、東京のコンサルタント業者に2200万円で委託した需要調査の結果が波紋を広げています。
この調査では、プロ野球の地方興行について、「毎年の開催を見込むことは難しい」コンサートなど音楽興行についても「開催可能性は極めて低い」という結果に…。さらに、建設費についても、3つの案のうち多目的ドーム型球場の場合は80億円上振れし「450億円になる」と試算されていたことが明らかになりました。ところが、調査結果が出た4か月後に県が策定した基本計画では、概算の建設費は「370億円」のままとなっていました。これについて、県議会の自民党会派からは、「共有が不十分だった」と指摘する声が上がっていました。
(自民改革会議 中田 次城 県議)
「特に上振れしてるのであれば、何も隠す必要はない。事実に基づいた報告をきちんとしないと、『この数字は一体なんだ』って話になった時に信用がなくなる」
(自民改革会議 飯田 末夫 県議)
「これから議会で大事な協議が控えているときに、情報の共有ができていなかった」「議会にも説明してほしかったと思っている。これは苦言ということで呈す」
450億円という試算結果が公表されていなかったことについて、鈴木知事は…。
(鈴木知事)
「公表はすべきだったと思いますが、数字が独り歩きすると、それが意味を持ってしまうのは、私は良くないことだと思いますので、全体を、これから検討していく、スタートに立った時点なので、あまり数字が独り歩きしないように発表する必要はあったと思います」
一方で、調査結果自体は報告を受けていたことを明らかにしました。
(鈴木知事)
「私のもとにも450億という情報は入ってきていました」「(調査結果は)聞きましたけれど、それが正確にいつなのか、ここで、今、答えることが難しいということです」
鈴木知事は、2024年に亡くなったスズキの鈴木修元会長から支援を受け、浜松市長時代には「ドーム型球場」の建設を要望してきました。その「ドーム型球場」について、厳しい調査結果が出たことについては…。
(鈴木知事)
「ドーム型球場だけでは採算がとれるとは思っていません。(北海道の)エスコンフィールドも長崎スタジアムシティもそうですが、アリーナだけ、ドーム型球場だけでは、たぶん事業としては成り立たなかった」「これから民間がどういう付帯機能を提案するのか、どれだけ投資するのかが非常に重要になってくると思います」
鈴木知事は、就任後、新野球場について球場の規模や費用負担のあり方を話し合う浜松市との協議会を設置。「期限を設けず丁寧に議論する意向」を示していますが、県の担当者は、先週の県議会建設委員会で、球場の構造や規模を「2年程度」で決定したい考えを述べました。これについて鈴木知事は、「2年」というのはあくまで担当者の意気込みだとして、「期限は決めていない」考えを示しました。
また、建設費を巡り、浜松市との“費用負担のあり方”についても言及しました。
(鈴木知事)
1「私、市長時代も、当然、県だけに負担してもらうものではなくて、浜松も応分の負担をしなければいけないと腹をくくっていました」「それは今の中野市長にも申し送りの中では、その点も申し送りをしてきたので、それは浜松市も含んでおられると思います」
一方で、建設費が上振れする中、野球場の建設自体を見直す可能性については、「仮定の質問には答えられない」と回答を避けました。
浜松市と地元経済界が多目的ドーム型を求めている新野球場計画ですが、議論の先行きは不透明となっています。