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【静岡のソウルフード】「たぬきむすび」製造の舞台裏! 悪魔のように超クセになる、あの“コンビニおにぎり”より、ずっと前から愛され続ける味!その請負人に密着(every.しずおか)

2024年3月29日 13:29
【静岡のソウルフード】「たぬきむすび」製造の舞台裏! 悪魔のように超クセになる、あの“コンビニおにぎり”より、ずっと前から愛され続ける味!その請負人に密着(every.しずおか)

揚げ玉とネギを混ぜた“たぬきご飯”で作った「たぬきむすび」。いまや静岡のソウルフードともいえる「天神屋」の看板商品ですが、その味は、1人の女性によって守られていました。それが、“おむすび母ちゃん”こと細ちゃん。

静岡のソウルフード「たぬきむすび」 その味を25年以上守り続ける“おむすび母ちゃん”に密着しました。

“おむすび母ちゃん”の職人技

人々が寝静まる夜11時過ぎに細ちゃんの一日が始まります。焼津市にある天神屋の工場が、細ちゃんの仕事場です。

“細ちゃん”こと細沢良子さんは、「天神屋」のおむすびを25年以上作る大ベテラン。平日は約4000個、休日には1万個ものおむすびを作ります。

この日、4000個のおむすびを作るのは、わずか3人。県内30店舗分のおむすびを、全て細ちゃんたちが作っています。細ちゃんが毎日必ず行う大切な仕事が、炊きあがったごはんのチェック。

(細沢良子さん)
「いいですよ。お米がふっくらして、手につかないご飯はいいご飯です」

下味となる塩や具材を混ぜ合わせるという、味を決める一番重要な作業は、細ちゃんが担当しています。

(細沢良子さん)
「混ぜすぎると粘りが出てくるので、ご飯を切るようにふわっと混ぜる」

この日は、まず、明太子や鮭などのおむすびから作っていきます。そして午前2時半ごろ、いよいよ看板商品の「たぬきむすび」作りに取り掛かります。

(細沢良子さん)
「天かすとネギとしょうゆ。それからしょうゆを天かすになじませて味を染み込ませる」

かたよりが出ないように、素早く天かすに醤油をなじませつつ、ネギと均一になるように一気に混ぜていくことがポイントだといいます。

そして、具材が完成したところで、なんとその上に、5キロのご飯を投入して混ぜていきます。

(細沢良子さん)
「白いご飯が残らないように、まんべんなく混ざるように。10キロだと混ぜ方が大変なので、5キロに減らして混ぜるとまんべんなく混ざります」

しゃもじで、空気を入れながら、やさしく、ふんわりと混ぜていきます。すばやく混ぜることがポイントで、わずか1分半ほどで、ごはんと具材がきれいに混ざり上がりました。まさに職人技!

この作業を20回以上繰り返し「たぬきむすび」1100個分、100キロを超えるごはんを1人で混ぜていきました。

(細沢良子さん)
「(お米は)重いですよ~。まんべんなく混ぜるには、結構時間がかかる」

始まりは、なんと江戸時代!

この「たぬきむすび」が看板商品の天神屋ですが、その始まりはなんと250年以上も前の江戸時代。最初は小さなひな人形店でした。

“天神屋”という名前は、ひな人形の天神様に由来します。その後1954年に、まかないで提供していたおむすびやいなり寿司を、店頭で販売したのがきっかけで、現在のような業態となりました。

そして「たぬきむすび」も、まかないだった“たぬきご飯”から生まれた商品ですが、販売がスタートしてから約50年、いまでは県民に愛されるソウルフードとなりました。

(客)
「ここに来ると食べたくなる。飽きない味でおいしい」
「何か分からないけど、1回食べたらハマっちゃって。私がたぬきむすびを食べたいので一つ買いました」

待ちわびるファンのため、細ちゃんは毎日一つ一つ丁寧に作っていきます。

そんな細ちゃんも62歳。人気の「たぬきむすび」の味を引き継いでいくため、いま、弟子の育成にも力を入れています。

伝統の“味”を次世代に

石川有紀さんは、弟子になって5年です。週に1度、一番大切な具材を混ぜる作業を、細ちゃんから教わっています。

(細沢良子さん)
「混ぜ方とかを分かるのは、有紀ちゃんしかいない」

(石川有紀さん)
「優しい人です。怒らずニコニコして教えてくれる。細ちゃんが守ってきたおむすびを、私も受け継いでいけたらいいなと思っています」

ふっくら混ぜるのは難しく、5年経った今も「まだまだ修行中」だといいます。

おむすびを作るリズムを崩したくないと、途中で休憩をはさまず、作業は夜通し行われました。空が明るくなり始めた午前6時前…トラックに作りたてのおむすびが積み込まれ、県内各地の店舗へと運ばれて行きます。

(細沢良子さん)
「おいしいおむすびを作って、お客様に喜んでいただければいいと思う。たくさんの人に食べていただいて、おいしいって言ってもらえれば」

守り続けて25年…これからも!

そして午前8時、ようやく細ちゃんの仕事が終わりました。すると細ちゃんが向かったのは…仕事終わりには、大好きなブラックコーヒーを飲むのがルーティーン。

(細沢良子さん)
「仕事終わりのご褒美に1本飲む。きょうは平日で(おむすびの数が)少なめなので、そんなに疲れはない」

昼夜逆転で大変な生活でも、“これ”があるから頑張れるといいます。

(細沢良子さん)
「これからも楽しく健康である限りは仕事を続けてい行きたい」

細ちゃんが作る「たぬきむすび」は、これからも、まだまだ味わうことができそうです。

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年10月5日放送)

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