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【消防士殉職ビル火災】「初動の情報収集・共有に問題」とした静岡市の最終報告書…専門家はどう分析するか

2025年3月18日 17:09
【消防士殉職ビル火災】「初動の情報収集・共有に問題」とした静岡市の最終報告書…専門家はどう分析するか

静岡市で2022年に発生し消防隊員1人が殉職したビル火災について、17日、静岡市が「最終報告書」を公表しました。この調査報告書の内容を、専門家の視点でどう分析するのか、取材しました。

これは、2022年8月に静岡市葵区呉服町で起きたビル火災で、消防隊が記録した映像です。火事が起きた飲食店内に煙が立ち込める中、過酷な状況で活動する様子が記録されています。このビル火災で、消火活動をしていた駿河消防署の消防士の男性が殉職しました。

この事故を受けて、再調査を進めてきた静岡市は、17日、「最終報告書」を公表しました。

これによると、消防隊員の1人が、火災が発生した飲食店の店長から火元の部屋の情報を聞いていたものの、現場本部や隊員間で情報共有せず、単独で火元の確認を行っていたことが新たに分かりました。

(静岡市 難波市長)
「隊員が現場到着直後に店長から情報収集後、単独で3階に侵入した。店長から得た火点の情報を現場本部で報告していない。隊員間で情報共有をしていない」

静岡市の最終報告について、元東京消防庁の坂口隆夫氏は、「静岡市消防局は組織的な活動ができていなかった」と指摘します。

(市民防災研究所 坂口 隆夫氏)
「今回の火災は、報告書を見ても、重要な情報共有ができていなかったということですよね」「一隊員が、単独で燃えている建物に進入しているんですね。日常茶飯事にこういう活動がやられていたのか、そう取られても致し方ないのかなという感じがする」

また、最終報告の中で、災害機動支援隊の小隊長が、本来とは異なる場所を火元として誤った助言をしていたことも明らかになっています。

(市民防災研究所 坂口 隆夫氏)
「支援隊も、どういう根拠でその給湯室が火点だと判断したのか。それが、大隊長までその話が伝わっていたのかどうか」「貴重な情報が共有できなかった、共有できなかったということが、やはり最終的には、その殉職事故に結びついてしまったと言っていいと思います」

消防隊員の殉職という痛ましい結果となった3年前のビル火災。難波市長は、再発防止のため、静岡市消防局の組織改革を行う考えを示しています。

最終更新日:2025年3月18日 17:09
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