58年前、旧清水市で一家4人が殺害された事件の再審＝やり直し裁判で、9月、袴田巌さんに無罪が言い渡されたのに対し、検察は8日 午後、控訴を断念する方針を弁護団に伝えました。

袴田巌さんは1966年、旧清水市でみそ会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定しましたが、2023年10月、静岡地裁でやり直しの裁判が始まり、9月26日、静岡地裁は「証拠はねつ造された」などとして、無罪を言い渡していました。

判決では、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類」などの3つの証拠について捜査機関による「ねつ造」が認定され検察が控訴するかが焦点となっていましたが、検察は、8日 午後、控訴を断念する方針を弁護団に伝えました。

これを受け、8日夜 開かれる弁護団の会見に出席するため、浜松の自宅から静岡へ向かう姉のひで子さんが、報道陣の取材に応じ、「一件落着と思うとうれしい」などと話しました。

では、袴田さんの自宅がある浜松市内から中継でお伝えします。西尾さん。

（中継・西尾 拓哉 記者）
「こちらは浜松市内にあります袴田巌さんの自宅前です。姉･ひで子さんは、検察が控訴を断念したという一報を受けまして、先ほど報道陣の取材に応じたあと、会見が行われる静岡市に向け出発しました。一方、袴田巌さんは、先ほど午後４時半ごろに支援者と自宅を出発し、日課のドライブに出かけました。長い拘禁生活により、精神状態が不安定な袴田さんですが、9月の無罪判決後、集会に参加した際は、無罪判決が完全に実りましたと、力強く話す場面も見られました。ドライブには、いつも夕方に出発し、夕食を食べて帰宅するということで、8日も、いつもと変わらない様子でした。一方、姉のひで子さんですが、先ほど浜松を出て、午後６時半ごろ静岡に到着し、弁護団による会見に臨む方針です。以上中継でした」

そして、ここで検察のコメントが入ってきました。「袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき、検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました」そして「袴田さんは、結果として相当な長期間にわたり、その法的地位が不安定な状況に置かれてしまうことになりました。この点につき、検察としても申し訳なく思っています」とコメントしています。