「被害者は同意していたと認識」男は改めて起訴内容を一部否認 女性教諭殺害差し戻し審 北海道
北海道帯広市で、同僚だった高校教諭の女性を殺害したなどの罪に問われている男の差し戻し裁判の初公判が釧路地裁で開かれました。
男は「被害者は同意していた」などと述べ、改めて起訴内容を一部否認しました。
(片桐朱璃被告)「やったことについては間違いないが、被害者が同意していたと認識している」
3日の法廷で起訴内容を一部否認したのは、元高校教諭の片桐朱璃被告38歳です。
片桐被告は2022年、帯広市内の駐車場の車内で、交際していた元同僚の女性の首をシートベルトで絞めて殺害したうえ、遺体を雑木林に埋めたとして殺人などの罪に問われています。
事件の背景にあったのが、交際関係のもつれ。
犯行当時、片桐被告は女性に対し…
(片桐朱璃被告)「もう死ぬしかない」
こう話したところ、女性は2回頷いたといいます。
これまでの裁判の争点は、女性の殺害への承諾が真意かどうか。
検察は「被告は死ぬ意思を装い、一緒に死ぬことに同意した女性を殺害した」として殺人罪を主張。
一方、弁護側は「女性は殺害に同意していた」などとして承諾殺人罪を主張していました。
1審の釧路地裁は2023年、女性は抵抗する様子がなかったことなどから自分のみが死ぬことを容認した可能性があるとして、承諾殺人を認定。
片桐被告に懲役6年6か月の判決を言い渡しました。
これに対し、検察は判決を不服として控訴。
2審の判決で札幌高裁は…
(札幌高裁)「被害者は被告も死ぬことを前提に自らも死ぬことを決意したと認められる」
被害者の状況や心理状態などの検討を尽くしていないとして、1審判決を破棄し、審理を差し戻したのです。
事件から2年半以上が経ち、再び迎えた1審の初公判で、検察は改めて殺人罪の成立を主張。
一方、片桐被告は女性が殺害に同意していたと起訴内容を一部否認し、弁護側も承諾殺人罪の適用を求めて争う姿勢を示しました。
元検察官で刑事裁判に詳しい中村弁護士は、今回の裁判についてこう分析しています。
(元検察官 中村浩士弁護士)「差し戻し後の裁判所は上級審の判断に拘束されますので、殺人罪の適用を前提に、この後は量刑判断に絞った審理がされていく。基本的に量刑はもっと上がると考えるのが自然だと思います」
片桐被告の差し戻し裁判は2月7日に結審し、20日に判決が言い渡される予定です。